ひそま)” の例文
旧字:
貫一は食はんとせし栗を持ち直して、とお峯に打向ひたり。聞く耳もあらずと知れど、秘密を語らんとする彼の声はおのづからひそまりぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
実際について観察すると、蛇が苺を食うでなくて、苺の蔭にひそまり返って水に渇した小鳥が目に立ちて、紅い苺を取りに来るところをるのらしいと(『飛騨史壇』二巻九号)。
さなり、女のその名を呼べるにても知らるるを、とひとうなづきつつ貫一は又ひそまりて聴耳立てたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)