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潜
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くゞ
ふりがな文庫
“
潜
(
くゞ
)” の例文
旧字:
潛
吉田は刺客に立ち向つて、肩先を深く切られて、
創
(
きず
)
のために命を
隕
(
おと
)
したが、横井は刺客の袖の下を
潜
(
くゞ
)
つて、都筑と共に其場を逃げた。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
さて、
聞
(
き
)
かつしやい、
私
(
わし
)
はそれから
檜
(
ひのき
)
の
裏
(
うら
)
を
抜
(
ぬ
)
けた、
岩
(
いは
)
の
下
(
した
)
から
岩
(
いは
)
の
上
(
うへ
)
へ
出
(
で
)
た、
樹
(
き
)
の
中
(
なか
)
を
潜
(
くゞ
)
つて
草深
(
くさふか
)
い
径
(
こみち
)
を
何処
(
どこ
)
までも、
何処
(
どこ
)
までも。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
すると野菜畑を隔てた遠くの肉桂の林の中から二三人の子供が驚いて飛び出すや、彼等は繋みの底を
潜
(
くゞ
)
つてバラ/\と逃げ出した。
肉桂樹
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
勘次
(
かんじ
)
は一
度
(
ど
)
整骨醫
(
せいこつい
)
の
門
(
もん
)
を
潜
(
くゞ
)
つてからは、
世間
(
せけん
)
には
這麽
(
こんな
)
に
怪我人
(
けがにん
)
の
數
(
かず
)
が
有
(
あ
)
るものだらうかと
絶
(
た
)
えず
驚愕
(
おどろき
)
と
恐怖
(
おそれ
)
との
念
(
ねん
)
に
壓
(
あつ
)
せられて
居
(
ゐ
)
たが
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「違ふよ、親分、あれは、おらぢやねえ、先を
潜
(
くゞ
)
つて二人も殺されちや、町内の十七娘が種切れになるから。大急ぎでお袖を締めたんだ」
銭形平次捕物控:079 十七の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
潜
(
くゞ
)
りしとか申程に
賤
(
いや
)
しく見えし
由
(
よし
)
然
(
さ
)
すれば
貴公樣
(
あなたさま
)
などは御
體
(
なり
)
は見惡ふ
入
(
いら
)
せられても
泥中
(
でいちう
)
の
蓮華
(
はちす
)
とやらで御人品は
自然
(
おのづ
)
から
瓦
(
かはら
)
と玉程に違ふを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
殊
(
こと
)
に
今日
(
こんにち
)
は鉄道も有り電信も有る世界にて警察の力を
潜
(
くゞ
)
り
果
(
おお
)
せるとは
到底
(
とうてい
)
出来ざる所にして、
晩
(
おそ
)
かれ早かれ露見して罰せらるゝは一つなり。
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
元気のよいお文を先きに立てて、源太郎は太い腰を曲げながら、ヨタヨタと店の
暖簾
(
のれん
)
を
潜
(
くゞ
)
つて、賑やかな道頓堀の通りへ出た。
鱧の皮
(新字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
と突退けますので、
此方
(
こっち
)
から
潜
(
くゞ
)
って
往
(
い
)
こうとしますると又突退けられます。向うに亥太郎と文治の姿が見えながら近寄ることが出来ませぬ。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
あの船の窓から高い岸の上を通る雪仕度の人を見ることが出来た。それから私達は船橋の下なぞを
潜
(
くゞ
)
り抜けたことも有つた。
突貫
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
潜
(
くゞ
)
りから這入ると玄関迄の距離は存外短かい。長方形の
御影
(
みかげ
)
石が
飛
(
と
)
び
々々
(
とび
)
に敷いてある。玄関は細い奇麗な格子で
閉
(
た
)
て切つてある。
電鈴
(
ベル
)
を押す。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
なぜなら、丁度、あの一瞬間、中尉は巻煙草に火をつけるために、からだをこゞめてゐた、それが、偶然針金の下を
潜
(
くゞ
)
るかたちになつたからです。
けむり(ラヂオ物語)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
カーテンを
潜
(
くゞ
)
つてあがりこむと、そこには五十がらみの、親方風の職人が、茶ぶ台のそばにあぐらをかいてのんでゐた。
老残
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
淺草の觀音堂の階段に
夜明
(
よあかし
)
をした事もある。木賃宿の
行燈
(
あんどう
)
に夜半驚いて虱をさぐり、銘酒屋の曉を人に襲はれ、裏露地を
潜
(
くゞ
)
つて逃れ去つた事もある。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
その男は金網を調べてみたが、何処に一つ
毀
(
こは
)
れた所も無かつた。で、この鼠は以前子鼠であつた頃網の目を
潜
(
くゞ
)
つてちよく/\走り込んだものと判つた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
土堤の中途でみのると同じ行先きへ落合はうとする舊い知人の二三人に出逢ひながら、師匠の門を
潜
(
くゞ
)
つた時は、義男と約束した時間よりもおくれてゐた。
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
余り
小癪
(
こしやく
)
に触るつて言ふんで、何でも五六人
許
(
ばかり
)
で、
撲
(
なぐ
)
りに懸つた風なもんだが、巧にその下を
潜
(
くゞ
)
つて狐のやうに、ひよん/\
遁
(
に
)
げて行つて了つたさうだ。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
その火のなかを
潜
(
くゞ
)
つて、槍や刀で攻め込んで行く。その勇しいこと、考へても身體がぞく/\するやうだ。
正雪の二代目
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
其貝層
(
そのかいそう
)
のシキまで
掘下
(
ほりさ
)
げて
見
(
み
)
ると、
萬鍬
(
まんぐわ
)
の
爪
(
つめ
)
の
間
(
なか
)
を
巧
(
うま
)
く
潜
(
くゞ
)
つて、
土
(
つち
)
の
中
(
なか
)
から、にゆツと
出
(
で
)
た
突起物
(
とつきぶつ
)
。
探検実記 地中の秘密:03 嶺の千鳥窪
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
それにも拘らず、私の前の塀と、その、開いてゐる塀の戸がぼんやり見分けられた。この戸口を、私は、新しい案内人と
潜
(
くゞ
)
つた。彼女は、背後の戸を閉め、
錠
(
ぢやう
)
をかけた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
潜
(
くゞ
)
るべき所やあるとこゝかしこをたづね、つゞをかけたる所にいたり、くゞりいでんとしてこゝに入れば
底
(
そこ
)
あるゆゑ、いでんとするに口に
尖
(
とが
)
りの
腮
(
あご
)
ありて
出
(
いづ
)
る事あたはず。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
天才が一たび高尚な情操を
潜
(
くゞ
)
つて※び出せば、山河も鳴動する、草木も感泣する。かう云ふ力を得てから、初めて人心を制服することも出來る、また慰籍することも出來る。
神秘的半獣主義
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
幾度水に
潜
(
くゞ
)
ツたかと思はれる
銘仙
(
めいせん
)
の
袷
(
あはせ
)
に、新しい
毛襦子
(
けじゆす
)
の
襟
(
えり
)
をかけて、しやツきりした
姿致
(
やうす
)
で
長火鉢
(
ながひばち
)
の傍に座ツてゐるところは、是れが娘をモデルに出す
人柄
(
ひとがら
)
とは思はれぬ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
宗教画に
彩
(
いろ
)
どられた高い門を
潜
(
くゞ
)
つて
賑
(
にぎやか
)
な街へ出た。朴氏は
勧工場
(
くわんこうば
)
へ私を
伴
(
つ
)
れて行つたが、私は汽車賃が
何
(
いづ
)
れ又追加される様な気がして
莫斯科
(
モスコオ
)
の記念の品も買ふ気にはなれなかつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
正太
(
しようた
)
は
潜
(
くゞ
)
りを
明
(
あ
)
けて、ばあと
言
(
い
)
ひながら
顏
(
かほ
)
を
出
(
だ
)
すに、
人
(
ひと
)
は二三
軒
(
げん
)
先
(
さき
)
の
軒下
(
のきした
)
をたどりて、ぽつ/\と
行
(
ゆ
)
く
後影
(
うしろかげ
)
、
誰
(
た
)
れだ
誰
(
た
)
れだ、おいお
這入
(
はいり
)
よと
聲
(
こゑ
)
をかけて、
美登利
(
みどり
)
が
足駄
(
あしだ
)
を
突
(
つツ
)
かけばきに
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
彼は追い/\数が
殖
(
ふ
)
えて来る
松明
(
たいまつ
)
のあいだを
巧
(
たく
)
みに
潜
(
くゞ
)
り抜けながら、やがて自分でも
篝
(
かゞ
)
り火の燃えさしを取って振りかざした。自分の手に照明があると、自分の姿が却って人に見えにくゝなる。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ただ少數の軍勢をアレースの壁
潜
(
くゞ
)
らせて
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
門の
潜
(
くゞ
)
り戸が
幽
(
かす
)
かに
開
(
あ
)
いた。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
布團の上から突く叩くの亂暴を働いたさうで、幸ひ宗吉は氣が付いてかい
潜
(
くゞ
)
るやうに逃げたから助かつたが、でも大變な傷ですよ
銭形平次捕物控:316 正月の香り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と
吃驚
(
びっくり
)
して、
背後
(
うしろ
)
は見ないで、抜けたり、
潜
(
くゞ
)
ったり、
呼吸
(
いき
)
ぐるしいほどの中をもぐって出て、まず水のある処へ行きましたがね。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
水司又市は十方でぶう/\/\/\と吹く
竹螺
(
たけぼら
)
の
音
(
ね
)
を聞きまして、多勢の百姓共に
取捲
(
とりま
)
かれては一大事と思いまして、
何処
(
どこ
)
を何う
潜
(
くゞ
)
ったか
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼は三十分と立たないうちに、
吾家
(
わがいへ
)
の
門前
(
もんぜん
)
に
来
(
き
)
た。けれども
門
(
もん
)
を
潜
(
くゞ
)
る気がしなかつた。
彼
(
かれ
)
は高い
星
(
ほし
)
を
戴
(
いたゞ
)
いて、
静
(
しづ
)
かな
屋敷町
(
やしきまち
)
をぐる/\徘徊した。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
私の父は若い時分継母のはからひで勘当同様の姿で家を出され、放浪中は土方の群れにも交つて刃ものの間を
潜
(
くゞ
)
つて来た人であることは聞いてゐた。
ある職工の手記
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
何でも
御贔屓
(
ごひいき
)
がひに
劇
(
しばゐ
)
を見に来たのだが、
例
(
いつも
)
の気紛れで
貞奴
(
さだやつこ
)
でも
調弄
(
からか
)
はうと思つて楽屋口を
潜
(
くゞ
)
つたらしかつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
聞て三五郎是は有難しと後に
尾
(
つい
)
て大方丈を
通拔
(
とほりぬけ
)
鼓樓
(
ころう
)
の下を
潜
(
くゞ
)
りて和尚の座敷の
縁側
(
えんがは
)
へ
罷
(
まか
)
り出平伏なすに此時
可睡齋
(
かすゐさい
)
は靜かに
緋
(
ひ
)
の
衣
(
ころも
)
の袖をかき合せながら三五郎を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
船頭は為方がなしに、『こつちにしませう!』と言つて、また橋の下を
潜
(
くゞ
)
つた。辛うじて船を岸につけることが出来た。船頭はかれを旅舎に導くべく先に立つた。
船路
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
依然
(
いぜん
)
として
俛首
(
うなだ
)
れた
儘
(
まゝ
)
遂
(
つひ
)
に
隣
(
となり
)
の
主人
(
しゆじん
)
の
門
(
もん
)
を
潜
(
くゞ
)
つた。
燒趾
(
やけあと
)
は
礎
(
いしずゑ
)
を
止
(
とゞ
)
めて
清潔
(
きれい
)
に
掻
(
か
)
き
拂
(
はら
)
はれてあつた。
中央
(
ちうあう
)
の
大
(
おほ
)
きかつた
建物
(
たてもの
)
を
失
(
うしな
)
つて
庭
(
には
)
は
喬木
(
けうぼく
)
に
圍
(
かこ
)
まれて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
みのるはまだ/\、男と一所の
貧乏
(
きうぼう
)
な生活の爲に厭な思ひをして
質店
(
しちみせ
)
の軒さへ
潜
(
くゞ
)
るけれども、義男は女の好む藝術の爲に新らしい書物一とつ
供給
(
あてが
)
ふ事を知らなかつた。
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
岡田は草稿を
懐
(
ふところ
)
に
捩
(
ね
)
ぢ込んで、机の所へ
小鼠
(
こねずみ
)
のやうに走り戻つて、鉄の
文鎮
(
ぶんちん
)
を手に持つた。そして
跣足
(
はだし
)
で庭に飛び下りて、
植込
(
うゑごみ
)
の中を
潜
(
くゞ
)
つて、
塀
(
へい
)
にぴつたり身を寄せた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
停車場前の空地には、既に馬から下りて、見送りの人々に挨拶する
壮年
(
わかもの
)
もあつた。斯の混雑の中を
潜
(
くゞ
)
り抜けて、私は途中で一緒に成つた広岡学士と共に塾の体操教師を探した。
突貫
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
右へ延びた方の廊の端に門番の女が住んで居て翁の
製作室
(
アトリエ
)
が右手の階下にあることを教へて
呉
(
く
)
れた。僕達は
薔薇
(
ばら
)
の花の絡んで居る鉄柵の
小門
(
こもん
)
を
潜
(
くゞ
)
つて中庭を経て階下の室の鈴を押した。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
怖
(
こは
)
い顔をした郵便配達は、かう言つて、一間も
此方
(
こつち
)
から厚い封書を銀場へ投げ込むと、クルリと身体の向を変へて、靴音荒々しく、板場で焼く
鰻
(
うなぎ
)
の匂を嗅ぎながら、
暖簾
(
のれん
)
を
潜
(
くゞ
)
つて去つた。
鱧の皮
(新字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
かの
水面
(
すゐめん
)
に
積
(
つも
)
りたる雪
下
(
した
)
より
解
(
とけ
)
て
凍
(
こほ
)
りたる雪の力も水にちかきは
弱
(
よわ
)
くなり、
流
(
ながれ
)
は雪に
塞
(
ふさが
)
れて
狭
(
せま
)
くなりたるゆゑ
水勢
(
すゐせい
)
ます/\
烈
(
はげ
)
しく、
陽気
(
やうき
)
を
得
(
え
)
て雪の
軟
(
やはらか
)
なる下を
潜
(
くゞ
)
り、
堤
(
つゝみ
)
のきるゝがごとく
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
眞
(
ま
)
一
文字
(
もんじ
)
に
驅
(
か
)
けて
人中
(
ひとなか
)
を
拔
(
ぬ
)
けつ
潜
(
くゞ
)
りつ、
筆屋
(
ふでや
)
の
店
(
みせ
)
へをどり
込
(
こ
)
めば、三五
郎
(
らう
)
は
何時
(
いつ
)
か
店
(
みせ
)
をば
賣仕舞
(
うりしま
)
ふて、
腹掛
(
はらがけ
)
のかくしへ
若干金
(
なにがし
)
かをぢやらつかせ、
弟妹
(
おとうといもと
)
引
(
ひき
)
つれつゝ
好
(
す
)
きな
物
(
もの
)
をば
何
(
なん
)
でも
買
(
か
)
への
大兄樣
(
おあにいさん
)
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
綱の先は井戸の車を
潜
(
くゞ
)
つて向う側の井桁の上に乘せた大釜の下に入つてゐるのだ、——いや大釜の下に敷いた
釜敷
(
かましき
)
の端に縛つてあるのさ。
銭形平次捕物控:225 女護の島異変
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
すると丁度隣の土蔵が塗直しで足場が掛けてあって
笘
(
とま
)
が掛っているから、それを
潜
(
くゞ
)
って段々参ると、下の方ではワア/\と云う
人声
(
ひとごえ
)
、もう
然
(
そ
)
うなると
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
其中
(
そのなか
)
を
潜
(
くゞ
)
つたが
仰
(
あふ
)
ぐと
梢
(
こずえ
)
に
出
(
で
)
て
白
(
しろ
)
い、
月
(
つき
)
の
形
(
かたち
)
は
此処
(
ここ
)
でも
別
(
べつ
)
にかはりは
無
(
な
)
かつた、
浮世
(
うきよ
)
は
何処
(
どこ
)
にあるか
十三夜
(
じふさんや
)
で。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その男はお茶も
碌
(
ろく
)
に飲まないで、そこ/\に挨拶して帰つた。そして二度と藹山の門を
潜
(
くゞ
)
らうともしなかつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
卯平
(
うへい
)
は
時々
(
とき/″\
)
は
東隣
(
ひがしとなり
)
の
門
(
もん
)
をも
潜
(
くゞ
)
つた。
主人夫婦
(
しゆじんふうふ
)
は
丈夫
(
ぢやうぶ
)
だといつても
窶
(
やつ
)
れた
卯平
(
うへい
)
を
見
(
み
)
ると
憐
(
あは
)
れになつて
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
私は思ふ、若い心に取つては、実にこの無法なる要求と想像との中をいかに
潜
(
くゞ
)
りぬけて行くかといふことが一にかゝつて其人の力と、精神と、強弱とに存するといふことを。
エンジンの響
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
潜
常用漢字
中学
部首:⽔
15画
“潜”を含む語句
潜然
潜戸
潜門
潜伏
潜水夫
水潜
掻潜
潜々
潜行
潜入
先潜
潜込
潜望鏡
潜航艇
胎内潜
狆潜
潜抜
沈潜
犬潜
潜在
...