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滴
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こぼ
ふりがな文庫
“
滴
(
こぼ
)” の例文
「お嬢さんのお詞によって、注いであげるから、
滴
(
こぼ
)
しちゃいけないよ、一滴でもお
銭
(
あし
)
だ、それも、みんな、私の汗と
脂
(
あぶら
)
が入ってるのだ」
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
ふと
轟
(
とどろ
)
いたお政の声に、
怖気
(
おじけ
)
の附いた文三ゆえ、
吃驚
(
びっくり
)
して首を
矯
(
あ
)
げてみて、安心した※お勢が誤まッて茶を
膝
(
ひざ
)
に
滴
(
こぼ
)
したので有ッた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
ハラハラと
滴
(
こぼ
)
して更にお浦の死骸に
蹙
(
しが
)
み附き「誰に此の様な目に遭わされました、浦子さん、浦子さん、此の
敵
(
かたき
)
は必ず高輪田長三が打ちますから」
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「誰が、
彼處
(
あすこ
)
へ
彼様
(
あんな
)
糸
(
いと
)
をかけたのだらう。」と周三は考へた。
途端
(
とたん
)
に日はパツと
輝
(
かゞや
)
いて、無花果の葉は緑の
雫
(
しづく
)
が
滴
(
こぼ
)
るかと思はれるばかり、鮮麗に
煌
(
きらめ
)
く。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
額からぽたぽた
滴
(
こぼ
)
れる血を
押
(
お
)
し
拭
(
ぬぐ
)
い「覚えてなはれ」と
捨台辞
(
すてぜりふ
)
を残して
憤然
(
ふんぜん
)
と座を立ちそれきり姿を見せなかった
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
又
(
また
)
子供
(
こども
)
の
咽喉
(
のど
)
を
見
(
み
)
るので
口
(
くち
)
を
開
(
あ
)
かせたりする
時
(
とき
)
に、
子供
(
こども
)
が
泣叫
(
なきさけ
)
び、
小
(
ちひ
)
さい
手
(
て
)
を
突張
(
つツぱ
)
つたりすると、
彼
(
かれ
)
は
其聲
(
そのこゑ
)
で
耳
(
みゝ
)
がガンとして
了
(
しま
)
つて、
眼
(
め
)
が
廻
(
まは
)
つて
涙
(
なみだ
)
が
滴
(
こぼ
)
れる。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
先生の同情ある御恩は決して一生
経
(
た
)
っても忘るることでなく、今もそのお心を思うと、涙が
滴
(
こぼ
)
るるのです。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
朝露しとしとと
滴
(
こぼ
)
るる桑畑の茂り、次ぎな菜畑、大根畑、新たに青み加わるさやさやしさ、一列に黄ばんだ稲の広やかな
田畝
(
たんぼ
)
や、少し色づいた遠山の秋の色、
麓
(
ふもと
)
の村里には朝煙薄青く
隣の嫁
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
笑み
滴
(
こぼ
)
れさうな白い顏、下げ髮にした黒い頭、青や赤の着物の色どり、前こゞみになつて、客を迎へてゐる姿が、お文の初めてこの人形を見た幾十年の昔と少しも變つてゐないと思はれた。
鱧の皮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
指さされたあたりを見ると、土の上に少し血が
滴
(
こぼ
)
れてゐるらしく、穴は一尺ほど土藏の土臺下を掘つたものですが、その直ぐ傍に、
鍬
(
くは
)
が
抛
(
はふ
)
り出してあるのも、昨夜の名殘りらしくて無氣味です。
銭形平次捕物控:224 五つの壺
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
さて太夫はなみなみ水を盛りたるコップを
左手
(
ゆんで
)
に
把
(
と
)
りて、
右手
(
めて
)
には
黄白
(
こうはく
)
二面の扇子を開き、やと声
発
(
か
)
けて
交互
(
いれちがい
)
に投げ上ぐれば、露を争う蝶
一双
(
ひとつ
)
、縦横上下に
逐
(
お
)
いつ、逐われつ、
雫
(
しずく
)
も
滴
(
こぼ
)
さず翼も
息
(
やす
)
めず
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
府庁の
門口
(
かどぐち
)
には李幕事夫婦をはじめ李将仕などが来て待っていた。許宣は涙を
滴
(
こぼ
)
してその人びとに別れの詞をかわして出発した。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
また
子供
(
こども
)
の
咽喉
(
のど
)
を
見
(
み
)
るので
口
(
くち
)
を
開
(
あ
)
かせたりする
時
(
とき
)
に、
子供
(
こども
)
が
泣叫
(
なきさけ
)
び、
小
(
ちい
)
さい
手
(
て
)
を
突張
(
つッぱ
)
ったりすると、
彼
(
かれ
)
はその
声
(
こえ
)
で
耳
(
みみ
)
がガンとしてしまって、
眼
(
め
)
が
廻
(
まわ
)
って
涙
(
なみだ
)
が
滴
(
こぼ
)
れる。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
ト何処かの隠居が、菊細工を観ながら愚痴を
滴
(
こぼ
)
したと
思食
(
おぼしめ
)
せ。(看官)何だ、つまらない。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
笑み
滴
(
こぼ
)
れさうな白い顔、下げ髪にした黒い頭、青や赤の着物の色どり、前こゞみになつて、客を迎へてゐる姿が、お文の初めてこの人形を見た幾十年の昔と少しも変つてゐないと思はれた。
鱧の皮
(新字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
祖父
(
ぢゝ
)
が死んだといふ悲むべき報知を聞いても、更に涙一つ
滴
(
こぼ
)
さうでもなく
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
「一滴でも油を
滴
(
こぼ
)
したら、これだぞ」と云って、長者は傍に置いてある
赤樫
(
あかがし
)
の
杖
(
つえ
)
を
揮
(
ふ
)
って見せました。長者はその
明
(
あか
)
りで酒を飲んでおりました。
宇賀長者物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
拭
(
ふ
)
きもしない。「早くお拭きなね」と母親は
叱
(
しか
)
ッた。「膝の上へ茶を
滴
(
こぼ
)
して、ぽかんと見てえる奴が有るもんか。
三歳児
(
みつご
)
じゃア有るまいし、意久地の無いにも
方図
(
ほうず
)
が有ッたもンだ」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
食物は定まった物はなく、平生は果実を喫っていたが、犬を非常に
悪
(
にく
)
んで、それを見ると一滴の血も
滴
(
こぼ
)
さないように喫った、
午
(
うま
)
の時を過ぎて
他山
(
ほかのやま
)
へ飛び往き、晩になって帰ってきたが
美女を盗む鬼神
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
許宣は涙を
滴
(
こぼ
)
してその人びとに別れの詞をかわして出発した。
雷峯塔物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
“滴”の意味
《名詞》
(しずく)空中や物の表面にある球状となった少量の液体。
(出典:Wiktionary)
滴
常用漢字
中学
部首:⽔
14画
“滴”を含む語句
点滴
一滴
雨滴
滴々
涓滴
水滴
滴水
墨汁一滴
余滴
點滴
滴点
滴垂
二滴
下滴
散滴
油滴
滴水和尚
滴血
滴雫
血一滴
...