“引啣”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ひきくわ66.7%
ひっくわ33.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
烏が引啣ひきくわえて飛ぼうとしたんだろう……可なりおおきな重い蛇だから、飛切れないで鋼線はりがねに留った処を、電流で殺されたんだ。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その花の影、水岸に、白鷺が一羽居て、それが、斑蝥はんみょう——人を殺す大毒虫——みちおしえ、というんですがね、引啣ひきくわえて、この森の空へ飛んだんです。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
出刃を落した時、かッと顔の色に赤味を帯びて、真鍮しんちゅう鉈豆煙草なたまめぎせるの、真中まんなかをむずと握って、糸切歯で噛むがごとく、引啣ひっくわえて
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
マドロス煙管パイプをギュウと引啣ひっくわえた横一文字の口が、旧式軍艦の衝角しょうかくみたいな巨大おおきあご一所いっしょに、鋼鉄の噛締機バイトそっくりの頑固な根性を露出むきだしている。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)