引啣ひきくわ)” の例文
烏が引啣ひきくわえて飛ぼうとしたんだろう……可なりおおきな重い蛇だから、飛切れないで鋼線はりがねに留った処を、電流で殺されたんだ。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その花の影、水岸に、白鷺が一羽居て、それが、斑蝥はんみょう——人を殺す大毒虫——みちおしえ、というんですがね、引啣ひきくわえて、この森の空へ飛んだんです。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と見ると手巾ハンケチさき引啣ひきくわえて、おきみの肩はぶるぶると動いた。白歯しらはの色も涙のつゆ、音するばかりおののいて。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私はあえて、この老怪の歯が引啣ひきくわえていたと言おう。……
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)