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啣
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ふく
ふりがな文庫
“
啣
(
ふく
)” の例文
溝に
架
(
わた
)
した
花崗岩
(
みかげいし
)
の橋の上に、髮ふり亂して垢光りする襤褸を著た女乞食が、二歳許りの
石塊
(
いしくれ
)
の樣な兒に乳房を
啣
(
ふく
)
ませて坐つて居た。
葬列
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
神
(
しん
)
凝
(
こ
)
り、
鬼
(
き
)
沈
(
しず
)
み、星斗と相語り、地形と
相抱擁
(
あいほうよう
)
して
倦
(
う
)
むところを知らず。一杯をつくして
日天子
(
にってんし
)
を迎え、二杯を
啣
(
ふく
)
んで
月天子
(
げってんし
)
を顧みる。
狂人は笑う
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
燕
(
つばくろ
)
は年々帰って来て、
泥
(
どろ
)
を
啣
(
ふく
)
んだ
嘴
(
くちばし
)
を、いそがしげに働かしているか知らん。燕と酒の
香
(
か
)
とはどうしても想像から切り離せない。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
是
(
こ
)
れ永楽帝の
懼
(
おそ
)
れ
憂
(
うれ
)
うるところたらずんばあらず。
鄭和
(
ていか
)
の
艦
(
ふね
)
を
泛
(
うか
)
めて遠航し、
胡濙
(
こえい
)
の
仙
(
せん
)
を
索
(
もと
)
めて遍歴せる、密旨を
啣
(
ふく
)
むところあるが如し。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
紅の上衣を頂より被りて、一人の
穉兒
(
をさなご
)
には乳房を
啣
(
ふく
)
ませ、一人の稍〻年たけたる子をば、腰の
邊
(
あたり
)
なる
籠
(
こ
)
の中に睡らせたる女あり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
▼ もっと見る
「そなたも知っている通りお父様は御病気でおかくれになったので、何も筑摩家に
啣
(
ふく
)
む
謂
(
い
)
われはないのだから、その点は誤解のないように」
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
下町育ちらしい束髪の細君が、胸を
披
(
はだ
)
けて
萎
(
しな
)
びた乳房を三つばかりの女の子に
啣
(
ふく
)
ませている傍に、切り髪の
姑
(
しゅうとめ
)
や大きい方の子供などもいた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
室
(
しつ
)
に、
玉鳳
(
ぎよくほう
)
は
鈴
(
すゞ
)
を
啣
(
ふく
)
み、
金龍
(
きんりう
)
は
香
(
かう
)
を
吐
(
は
)
けり。
窓
(
まど
)
に
挂
(
か
)
くるもの
列錢
(
れつせん
)
の
青瑣
(
せいさ
)
なり。
素
(
しろき
)
柰
(
からなし
)
、
朱
(
あかき
)
李
(
すもゝ
)
、
枝
(
えだ
)
撓
(
たわゝ
)
にして
簷
(
のき
)
に
入
(
い
)
り、
妓妾
(
ぎせふ
)
白碧
(
はくへき
)
、
花
(
はな
)
を
飾
(
かざ
)
つて
樓上
(
ろうじやう
)
に
坐
(
ざ
)
す。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
妙義の妓は
啣
(
ふく
)
み水でその血を洗うことを知っているので、今夜の客も
相方
(
あいかた
)
の妓のふくみ水でその疵口を洗わせていた。
半七捕物帳:22 筆屋の娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
乳房を
啣
(
ふく
)
ませてやらなければ絶対に泣き歇まぬ守が、其の場合急に静かになったので、何気無く好奇心を覚えて境目の襖を二尺程開き寝床を覗いたのであります。
陳情書
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
「間さん」と、呼れし時、彼は満口に飯を
啣
(
ふく
)
みて
遽
(
にはか
)
に
応
(
こた
)
ふる
能
(
あた
)
はず、唯目を
挙
(
あ
)
げて女の顔を見たるのみ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ましら羽の鳥に
啣
(
ふく
)
ます花ひとつ武蔵のあなた十里におちよ (上総なる林のぶ子の君を懐ひまつりて)
恋衣
(新字旧仮名)
/
山川登美子
、
増田雅子
、
与謝野晶子
(著)
父は捨てどころに
困
(
こう
)
じて口の中に
啣
(
ふく
)
んでいた梅干の種を勢いよくグーズベリーの繁みに放りなげた。
親子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
どんな「夢」でも、さう不自然でなく、すべての欲望は満たされない前に、既に十分な甘味としてこれを口に
啣
(
ふく
)
み得るといふ時代、これは単純に幸福きはまる時代です。
青年の夢と憂欝:――力としての文化 第五話
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
実業家は冷めた盃を
啣
(
ふく
)
みながら、是公氏が何を泣いてゐるのだらうと色々想像してみた。後藤
男
(
だん
)
が新聞記者に
苛
(
いぢ
)
められたからといつて泣く程の是公氏でもないと思つた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
昔、
融禅師
(
ゆうぜんじ
)
がまだ
牛頭山
(
ごずさん
)
の北巌に
棲
(
す
)
んでいた時には、色々の鳥が花を
啣
(
ふく
)
んで
供養
(
くよう
)
したが、
四祖大師
(
しそだいし
)
に参じてから鳥が花を啣んで来なくなったという話を聞いたことがある。
愚禿親鸞
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
番頭は
盃
(
さかずき
)
を
啣
(
ふく
)
んで、「さあ誰でも来い」という顔付をした。「お貸しなさい、
敵打
(
かたきうち
)
だ」と主人は飛んで出て、番頭を相手に差し始める。どうやら主人の手も悪く成りかけた。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
また慾に
渇
(
かわ
)
いて
因業
(
いんごふ
)
な
世渡
(
よわたり
)
をした老婆もあツたらう、それからまた
尚
(
ま
)
だ赤子に乳房を
啣
(
ふく
)
ませたことの無い
少婦
(
をとめ
)
や胸に
瞋恚
(
しんい
)
のほむらを燃やしながら
斃
(
たふ
)
れた醜婦もあツたであらう。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
と、手ずからその口へ薬を
啣
(
ふく
)
ませてやったというにかかわらず、息をひきとってしまった。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
而して半日の観劇を終りたるの後、予は「かの丸薬」の幾粒を口に
啣
(
ふく
)
みて、
再
(
ふたたび
)
予が馬車に投ぜん。
節物
(
せつぶつ
)
は
素
(
もと
)
より異れども、紛々たる細雨は、予をして幸に
黄梅雨
(
くわうばいう
)
の天を彷彿せしむ。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
残る
隈
(
くま
)
なく雲の波に
浸
(
ひた
)
されて、四面
圜海
(
くわんかい
)
の中、
兀立
(
こつりつ
)
するは我
微躯
(
びく
)
を載せたる
方
(
はう
)
幾十尺の不二頂上の一
撮土
(
さつど
)
のみ、このとき白星を
啣
(
ふく
)
める波頭に、漂ふ不二は、一片石よりも軽
且
(
かつ
)
小なり
霧の不二、月の不二
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
人目を避け他聞をはばかって、奥まった片隅に会議の席を
設
(
しつら
)
え、コン吉とタヌが待ち構えていると、ガイヤアルを先登にして三人の
山案内
(
ギイド
)
が、威風堂々
舳艫
(
じくろ
)
を
啣
(
ふく
)
んで乗り込んで来た。
ノンシャラン道中記:07 アルプスの潜水夫 ――モンブラン登山の巻
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
口移しに水を
啣
(
ふく
)
ませ、お竹を□□めて
我
(
わが
)
肌の
温
(
あたゝ
)
かみで暖めて居ります内に、雪はぱったり止み、雲が切れて十四
日
(
か
)
の月が段々と差昇ってまいる内に、雪明りと
月光
(
つきあか
)
りとで
熟々
(
つく/″\
)
お竹の顔を見ますと
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その
駭
(
おどろ
)
きに父さまの事は忘れたらしく候へば、箱根へかかり候まで泣きいぢれて、よう
寐
(
ね
)
てをり候
秀
(
しげる
)
を起しなど致し候へば、また去年の旅のやうに虫を出だし候てはと、
呑
(
の
)
まさぬはずの私の乳
啣
(
ふく
)
ませ
ひらきぶみ
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
溝に
架
(
わた
)
した
花崗石
(
みかげいし
)
の橋の上に、髪ふり乱して垢光りする
襤褸
(
ぼろ
)
を着た
女乞食
(
をなごこじき
)
が、二歳許りの
石塊
(
いしくれ
)
の様な児に乳房を
啣
(
ふく
)
ませて坐つて居た。
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
お銀は白い胸を
披
(
はだ
)
けながら、張り詰めた乳房を
啣
(
ふく
)
ませると、子供の顔から涙を拭き取って、にっこり笑って見せた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
唯だ
骨喜店
(
カツフエエ
)
の前には、幾個の希臘人、
土耳格
(
トルコ
)
人などの彩衣を纏ひて、口に長き
烟管
(
きせる
)
を
啣
(
ふく
)
み、默坐したるあるのみ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
椀の
縁
(
ふち
)
がほんのり汗を掻いているので、そこから湯気が立ち昇りつゝあることを知り、その湯気が運ぶ匂に依って口に
啣
(
ふく
)
む前にぼんやり味わいを豫覚する。
陰翳礼讃
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
市郎は
唯
(
と
)
ある岩角に腰をかけて、用意の
気注薬
(
きつけぐすり
)
を
啣
(
ふく
)
んだ。足の下には清水が長く流れているが、屏風のような
峭立
(
きったて
)
の岩であるから、下へは容易に手が
達
(
とど
)
かぬ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
幅は
然
(
さ
)
のみ
濶
(
ひろ
)
からぬ川ながら、船の往来のいと多くして、前船後船
舳艫
(
じくろ
)
相
啣
(
ふく
)
み船舷相摩するばかりなるは、川筋繁華の地に当りて
加之
(
しかも
)
遠く牛込の揚場まで船を通ずべきを以てなり。
水の東京
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
御新造
(
ごしんぞ
)
は何しろ子供のように、可愛がっていらしった犬ですから、わざわざ牛乳を取ってやったり、
宝丹
(
ほうたん
)
を口へ
啣
(
ふく
)
ませてやったり、随分大事になさいました。それに不思議はないんです。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
飛天の銃は、あの、清く美しい白鷺を狙うらしく想わるるとともに、激毒を
啣
(
ふく
)
んだ霊鳥は、渠等に対していかなる防禦をするであろう、神話のごとき戦は、今日の
中
(
うち
)
にも開かるるであろう。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(
凝
(
じっ
)
と、
枚
(
ばい
)
を
啣
(
ふく
)
んで、待機——)
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
吭
(
のんど
)
は又
塞
(
ふさが
)
りて、
銕丸
(
てつがん
)
を
啣
(
ふく
)
める
想
(
おもひ
)
。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
又太閤は三成以下の五奉行に旨を
啣
(
ふく
)
め、二月
朔日
(
ついたち
)
までに諸役人共
悉
(
こと/″\
)
く伏見へ着到するように国々へ廻文を出させたので、当日までに集まった武士を始め、大工、土工
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
血気の男二人に、突き戻され、
押遣
(
おしや
)
られて、強情なお杉も
漸次
(
しだい
)
に
後
(
あと
)
へ
退
(
すさ
)
ったが、やがて口一杯に
啣
(
ふく
)
んだ
山毛欅
(
ぶな
)
の実を咬みながら、市郎の顔に向ってふッと噴き付けた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
われ
諾
(
うけが
)
はねば、この少女しば/\武を用ゐき。或る日われまた脅されて泣き出しゝに、さては猶
穉兒
(
をさなご
)
なりけり、乳房
啣
(
ふく
)
ませずては、啼き止むまじ、とて我を掻き抱かむとす。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
房吉は時々出かけてゆく、近所の
釣堀
(
つりぼり
)
へ遊びに行っていたし、房吉の姉のお鈴は、小さい方の子供に、乳房を
啣
(
ふく
)
ませながら、
茶
(
ちゃ
)
の
室
(
ま
)
の方で、手枕をしながら、
乱次
(
だらし
)
なく眠っていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
いや
彼塔
(
あれ
)
を作つた十兵衞といふは何とえらいものではござらぬ歟、彼塔倒れたら生きては居ぬ覚悟であつたさうな、すでの事に鑿
啣
(
ふく
)
んで十六間真逆しまに飛ぶところ、
欄干
(
てすり
)
を斯う踏み
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
読者
(
どくしや
)
知
(
し
)
るや、
弴
(
とん
)
さんと
芥川
(
あくたがは
)
(
故
(
こ
)
……あゝ、
面影
(
おもかげ
)
が
目
(
め
)
に
見
(
み
)
える)さんが、
然
(
しか
)
も
今年
(
ことし
)
五
月
(
ぐわつ
)
、
東北
(
とうほく
)
を
旅
(
たび
)
した
時
(
とき
)
、
海
(
うみ
)
を
渡
(
わた
)
つて、
函館
(
はこだて
)
の
貧
(
まづ
)
しい
洋食店
(
やうしよくてん
)
で、
弴
(
とん
)
さんが、オムレツを
啣
(
ふく
)
んで、あゝ、うまい、と
嘆
(
たん
)
じ
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
我が
喰
(
は
)
み
啣
(
ふく
)
める
泥土
(
ひづち
)
と
融
(
と
)
け沈みぬ。
詩
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
憲房も、杯を
啣
(
ふく
)
んで。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
リヽーはそれをすつかり呑み込んでゐるらしく、頬ぺたへ顔を擦りつけてお世辞を使ひながら、彼が
魚
(
さかな
)
を
啣
(
ふく
)
んだと見ると、自分の口を大胆に主人の口の
端
(
はた
)
へ持つて行く。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
いや
彼塔
(
あれ
)
を作った十兵衛というはなんとえらいものではござらぬか、あの塔倒れたら生きてはいぬ覚悟であったそうな、すでのことに
鑿
(
のみ
)
啣
(
ふく
)
んで十六間
真逆
(
まさか
)
しまに飛ぶところ、
欄干
(
てすり
)
をこう踏み
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
水を貰って洗おうとすると、ただ洗っても取れるものではない、一旦は水を口にふくんで、いわゆる
啣
(
ふく
)
み
水
(
みず
)
にして
手拭
(
てぬぐい
)
か紙に
湿
(
しめ
)
し、しずかに拭き取るのが一番よろしいと、案内者が教えてくれました。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
またよく杯を
啣
(
ふく
)
んだ。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
リリーはそれをすっかり
呑
(
の
)
み込んでいるらしく、
頬
(
ほっ
)
ぺたへ顔を擦りつけてお世辞を使いながら、彼が魚を
啣
(
ふく
)
んだと見ると、自分の口を大胆に主人の口の
端
(
はた
)
へ持って行く。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
リヽーはそれをすつかり呑み込んでゐるらしく、
頬
(
ほっ
)
ぺたへ顔を擦りつけてお世辞を使ひながら、彼が
魚
(
さかな
)
を
啣
(
ふく
)
んだと見ると、自分の口を大胆に主人の口の
端
(
はた
)
へ持つて行く。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
而も三成の命を
啣
(
ふく
)
んで
細作
(
さいさく
)
となるべく志した行者順慶、当時の下妻左衛門尉は、此の圓一と
入魂
(
じっこん
)
であったのを幸いに、彼の盡力に依って短時日の間に当道の
瞽官
(
こかん
)
を得たと云う。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
咽喉
(
のど
)
が
渇
(
かわ
)
いておいでゞしょうと云って
柘榴
(
ざくろ
)
をすゝめたのを、丞相は取って口に
啣
(
ふく
)
んでひしひしと
噛
(
か
)
み砕き、妻戸のふちに吐きかけたかと思うと、見る/\一条の火焔となって燃え上ったが
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
啣
漢検1級
部首:⼝
11画
“啣”を含む語句
横啣
啣楊枝
引啣
啣煙管
相啣
排氣啣筒