退しりぞい)” の例文
是れは神の前に耻づべきことです、万国は互にきそうて滅亡に急ぎつゝあるです、私共は彼等を呼び留めますまい、むし退しりぞいて新しき王国のいしずゑを据ゑませう
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
天下国家を云々うんぬんしているものよりは、退しりぞいて一人を守る人の方が国のためになりはせぬかと考える。
人格を認知せざる国民 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
この時に当りて徳川家の一類に三河みかわ武士の旧風きゅうふうあらんには、伏見ふしみ敗余はいよ江戸に帰るもさらに佐幕さばくの諸藩に令して再挙さいきょはかり、再挙三拳ついにらざれば退しりぞいて江戸城を守り
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
僕は実に失望落胆の為めほとんど発狂するばかりに精神を痛めたです——乍併しかしながら更に退しりぞいて考へると、れはいたづらに愁歎しうたんして居るべき時でない、僕の篠田を崇拝したのは其の主義に在るのだ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)