“ひけ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヒケ
語句割合
22.7%
18.2%
13.6%
退出11.4%
退校6.8%
退4.5%
2.3%
卑下2.3%
2.3%
2.3%
退刻2.3%
退庁2.3%
退散2.3%
退省2.3%
退社2.3%
2.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それはタイプライタアを叩く事で、この道にかけての陛下の手際は、倫敦ロンドンで名うてのタイピストに比べても決してひけは取られない。
怠惰にかけては、誰にもひけはとらなかつた、が自分は怠惰以外の、彼等の徳とする凡ての心を持ち合さなかつた。
明るく・暗く (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
女「えゝ宿屋のは古うございますから、し又お帰りの時お邪魔なら私が方へひけを立って取りますから」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
宗助そうすけういふふうに、なん事故じこ出來できて、役所やくしよ退出ひけからすぐほかまはつておそくなる場合ばあひには、何時いつでもその顛末てんまつ大略たいりやくを、歸宅きたく早々さう/\御米およねはなすのをれいにしてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
朝めし喰べると馳け出して三時の退校ひけに道草のいたづらした事なく、自慢では無けれど先生さまにも褒め物の子を、貧乏なればこそ蜆を擔がせて、此寒空に小さな足に草鞋をはかせる親心
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
彼は午後四時の退ひけに、貧民窟にも帰らずに、田舎へ散歩に出かけた。そこで彼は二本足の動物と、煤煙と、貧民窟を離れて、少しの間でも自然と接触をちたいと思った。
空中征服 (新字新仮名) / 賀川豊彦(著)
陶は物事を思い詰める一本気なところがあるので上流社会に出てもひけをとらぬ貴婦人になッてくれようと覚悟したものとみえ、定められた時間では満足せず、書机に向って夜を徹するのが毎日なので
湖畔 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
沙魚も、餌つきの方では、卑下ひけを取らず、沢庵漬でも南京玉でも、乱暴に食い付く方ですが。其殺風景は、比べにならんです。
元日の釣 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
ひけえ下さいましと、本式のやくざ挨拶に居直り兼ねまじき気勢を見て、青嵐居士も全く面くらいましたが、直ちに合点して
それまで彼は歴々れっきとした生みの親のある、家の後取娘として、何かにつけておとらからひけらかす様に、隔てをおかれるお島を、のろわしくも思っていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
というのは午後十一時過ぎのようにまったく遊び専門の人種になり切っていなかった。いくらか足並あしなみに余裕を見せている男達も月賦げっぷ衣裳いしょう屋の飾窓かざりまど吸付すいついている退刻ひけ女売子ミジネットの背中へまわって行った。
売春婦リゼット (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
のそのそ出掛けて来た訳なれど。今に旦那がお退庁ひけになりやあ、部屋へ下つて、小さうなり、決してお邪魔はしないから、さあ安心をしてるが好い。
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
帰途かへりに大陸ホテルの前を過ぎると丁度ちやうど今の季節に流行はやる大夜会の退散ひけらしく、盛装した貴婦人のむれ続続ぞくぞくと自動車や馬車に乗る所であつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
退省ひけて下宿へ帰る、衣服を着更きかえる、直ぐ何処いずれへか遊びに出懸けて、落着て在宿していた事はまれだという。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
私は、五時を合図に退社ひけると、その足で東京駅にかけつけしばらく振りで省線電車にゆられ始めた。
蝕眠譜 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
やがて、もうよろしいと、スコールの声に、テイイ事務長がふりかえってみると、そこには顔全部が灰色のひけにうずまったといいたいくらいの人のよい老艇長がにこにこして立っていた。
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)