“ひげ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヒゲ
語句割合
40.9%
32.7%
18.6%
卑下5.4%
鬚髯0.5%
0.2%
髭髯0.2%
腮髯0.2%
0.1%
触角0.1%
口髭0.1%
巻蔓0.1%
気根0.1%
肥下0.1%
虎髯0.1%
觸覺0.1%
頤髯0.1%
髭草0.1%
髯髭0.1%
鬚草0.1%
鬚髭0.1%
0.1%
鼻髯0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
住職は四十前後で、色の白い、ひげのあとの青い人であった。客の一人は侍、一人は御用聞きというので、住職も疎略に扱わなかった。
半七捕物帳:01 お文の魂 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
孫七もひげの伸びたほおには、ほとんど血のかよっていない。おぎんも——おぎんは二人にくらべると、まだしもふだんと変らなかった。
おぎん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ひげの生えた中年の男も来るようであった。清三は女の胸に誰が一番深く影を印しているかをさぐってみたが、どうもわからなかった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
はなしが自己の仕事となると赤鶴のひとみは、壮者のようなりを持って、それまでの卑下ひげなどはもうどこにもなくなっていた。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
山陽ホテルの駅前街路を見晴らす豪華な一室に、立派な緞子どんすの支那服を着た、鬚髯ひげと眉毛の長い巨漢おおおとこが坐っていた。
人間レコード (新字新仮名) / 夢野久作(著)
身ノたけ八尺余、ひげ美しく、まなこは鳳眼ほうがん——。気に入った。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
老人は例の雪のような髭髯ひげをひねくりながらさみしそうに悲しそうに、意地のわるそうに笑ったばかりで何とも答えなかった。
河霧 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
源太は却つてしんから可笑をかしく思ふとも知らずにお傳はすいと明くれば、のろりと入り来る客は色ある新造どころか香も艶もなき無骨男、ぼう/\頭髪あたまのごり/\腮髯ひげ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
この王鬍は禿瘡はげがさでもある上に、ひげをじじむさく伸ばしていた。阿Qは禿瘡はげがさの一点は度外に置いているが、とにかく彼を非常に馬鹿にしていた。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
阿Qの記憶ではおおかたこれは生れて初めての屈辱といってもいい、王鬍はあごに絡まるひげの欠点で前から阿Qに侮られていたが、阿Qを侮ったことは無かった。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
その前には、草いろや欝黄の婦人服コーフタを著たり、また中には、うしろに金絲で触角ひげの型を刺繍した水いろの波蘭婦人服クントゥーシュを著たりした貴族の婦人連が佇んでゐた。
また祭日などにソローハが派手な毛織下着プラフタに、南京織の下袴ザパースカを穿き、その上にうしろに金絲で触角ひげの形の刺繍ぬひをした青いスカートを著けて、お寺へ出かけて、右側の頌歌席にほど近く立たうものなら
方々探しても、何うしても分らなかったから、口髭ひげなんか剃って了って、一寸ちょいと見たくらいでは見違えるようにして、私の故郷くにに行ったの。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
己れの細くて粘っこい巻蔓ひげを輪にして、風のまにまにゆらゆらと揺れている。
気根ひげを垂れている木なのだ
鮪に鰯 (新字新仮名) / 山之口貘(著)
ところが幸いにして郷里の肥下ひげ、伊藤、渡辺等の諸氏が非常に尽力じんりょくされて、五、六名でもって三百円の金を送ってくれたです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其事そのことこの虎髯ひげがおはなしもうすのが順當じゆんたうでせう。』と不意ふゐ室内しつない飛込とびこんでたのは、れい磊落らいらくなる虎髯大尉こぜんたいゐ本名ほんめい轟大尉とゞろきたいゐであつた。
風に吹かれる蟲の觸覺ひげ
南窗集 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
たいして疲労つかれてもいないらしい。審判席では定吉先生が、さも驚いたというように、長い頤髯ひげしごいていた。眉の間に皺が寄っていた。神経的の皺であった。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
晩秋のうす曇りの日に私は竜の髭草ひげの上に腰を下ろし、頬杖をついて眺めます。吉良と義光ちゃんはレスリングの真似をして上になったり下になったりしています。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
白状に及ぶ程のことなれば總身そうしんにくおち頬骨ほゝぼね高く眼はくぼみ色蒼然あをざめ髯髭ひげ蓬々ぼう/\としたる體彼の俊寛僧都しゆんくわんそうづが鬼界ヶ島のおもかげもかくやとばかり思はれて藤八お節も目も眩み心も消え入る體なりしが漸々やう/\に涙を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わたくしは、しばらく眼をつむりました。すると、しず/\と、あの風の日に、竜の鬚草ひげの上に座を占めて校庭のポプラが鞭のように揺れるのを眺めているわたくしに戻されて来ました。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
鬚髭ひげぐらい焼かれる間はまだしもだが、背中へ追いかかって来て、身柱大椎ちりけだいついへ火を吹付けるようにやられては、きゅうを据えられる訳では無いし、向直って闘うに至るのが、世間有勝ありがちの事である。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
工場を怠け、学校はお留守にし、ひげを生やした憲兵の間抜けな眼を嘲っては、動こうともしない獣の足を引きずりながら、「新しい歌」を掠め歩いた。
二十歳のエチュード (新字新仮名) / 原口統三(著)
わたくし三々五々さん/\ごゞむれをなして、其處此處そここゝつてる、顏色いろ際立きはだつてしろ白耳義人ベルギーじんや、「コスメチツク」で鼻髯ひげけんのやうにかためた佛蘭西フランス若紳士わかしんし