“あごひげ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
頤髯21.8%
顎髯19.5%
顎鬚15.0%
頤鬚11.3%
顋髯7.5%
顎髭6.0%
腮髯5.3%
頤髭3.8%
腮鬚3.0%
顋鬚3.0%
1.5%
腭鬚0.8%
腮髭0.8%
顋髭0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ボリーはロマンティックな頤髯あごひげをはやしていた、ジャン・マルタンはなおズボンつりをかけていた、ルクーフェは母と言い争った。
「さればさ、さればこの件だが」不識先生は、顎髯あごひげをしごいて云った、「儂がみたところ、家主吾助に憑いておるのは天一坊であるな」
長屋天一坊 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
背丈は一メートル五十ちょっとで、痩せていて白髪頭で、しかしまっ黒な口髭をぴんとはね、やはりまっ黒な顎鬚あごひげをたくわえていた。
季節のない街 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
彼は自分の頤鬚あごひげよりも、むしろその堂々たる体格の方を自慢にしている。というのが、牝山羊も頤の下にちゃんと鬚を生やしているからである。
博物誌 (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
「さようじゃなあ、そんじゃ、もうやめるか」と、わかい男の右側にいる顋髯あごひげの延びた男が云った。
岩魚の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
通りすがりに、何の気なしに中を覗いて見ると、つい鼻先きの寝台の上に、若い男の、薄い顎髭あごひげを生やした、ろうのような顔が仰向いているのがちらりと見えた。
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
六畳間には、顔の長い、頬のげた、そしてくぼんだ穴の中に鋭い眼のある老人が、漆黒しっこく腮髯あごひげをしごいて、いつも書見か、墨池ぼくちに親しんでいる。
田崎草雲とその子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さう云つて、彼は「山羊」と綽名をつけられてゐるその頤髭あごひげを、馴れた手つきで、さつとしごいた。
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
ぼろぼろの法衣ころもを着た、痩せて銀のような腮鬚あごひげを生やした旅僧が立って念仏を唱えていた。
妖怪記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
かつて筆者が不精で顋鬚あごひげを剃るのを怠っているのを見付けた時「あごひげなんか延ばして大家になっちゃ駄目だぞ」
工学博士末広恭二君 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
その部屋にいた三人のアイヌは、黒いあごひげを房々とはやし、こんがらかった長髪をしていたが、顔は我々の民族に非常によく似ていて、蒙古人種の面影は、更に見えなかった。
主人は白い長い腭鬚あごひげをひっぱり、黒ちりめんの羽織で、大きなしとねに坐り、銀の長ぎせるで煙草タバコをのみ、曲彔きょくろくをおき、床わきには蒔絵まきえ琵琶びわを飾り、金屏きんびょうの前の大がめに桜の枝を投げ入れ
『ぢや何だ、真黒な腮髭あごひげを生やした男で、放浪者ごろつきみたいな?』
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
しかしその中にたった一枚、フロック・コオトに勲章をつけた、顋髭あごひげのある老人の半身だけは変らない。ただその顔はいつのにか前の背むしの顔になっている。
浅草公園:或シナリオ (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)