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頤髯
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あごひげ
ふりがな文庫
“
頤髯
(
あごひげ
)” の例文
羽織袴
(
はおりはかま
)
といういでたちながら、口髭と丸く刈りこんだ
頤髯
(
あごひげ
)
を頤の下に蓄え、頭はきちんとポマードで固めて、茶色の眼鏡をかけている。
すり替え怪画:烏啼天駆シリーズ・5
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ボリーはロマンティックな
頤髯
(
あごひげ
)
をはやしていた、ジャン・マルタンはなおズボンつりをかけていた、ルクーフェは母と言い争った。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
なんぼ
山鳥
(
やまどり
)
のおろのかゞみで、
頤髯
(
あごひげ
)
さ
撫
(
な
)
でた
処
(
ところ
)
で、
木
(
き
)
の
枝
(
えだ
)
で、
鋸
(
のこぎり
)
を
使
(
つか
)
ひ/\、
猿
(
さる
)
の
脚
(
あし
)
と
並
(
なら
)
んだ
尻
(
しり
)
を、
下
(
した
)
から
見
(
み
)
せては
落
(
お
)
つこちねえ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
連日の汗を旅館の温泉に流して、夕暮れの瀬川の音を座敷から聴いて、延びた
頤髯
(
あごひげ
)
をこすりながら、私はホッとした気持になって言った。
父の葬式
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
と、部屋の中央に、弓の折れを
鞭
(
むち
)
のようにひっさげた、五十あまりの
逞
(
たくま
)
しい、
頤髯
(
あごひげ
)
を生やした巨大な男が、両足をふんばり立っていたが
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
と、長い
頤髯
(
あごひげ
)
をしごきながら、この老僧はじーっとなにか、ふかい物思いにしずんでいられました。やがて目をあけられると
亡霊怪猫屋敷
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
彼は八十歳を過ぎてるのに、髪の毛もそろっており、まだ灰色の毛の交った白い頭髪はふさふさとして、濃い
頤髯
(
あごひげ
)
には真黒な毛筋も見えていた。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
白い髪の毛は
顳顬
(
こめかみ
)
のあたりに少々残っているだけで、
頤髯
(
あごひげ
)
はまばらで
楔
(
くさび
)
がたをしている。その笑みを浮かべた唇は、二本の紐かなんぞのように細い。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
何と、かの爺どもの胡麻塩の
蓬々
(
ぼうぼう
)
と乱れて深い渦巻きをした髪の毛、
凹
(
くぼ
)
んだ黒い両眼に蔽いさがった眉毛、口髭、毛むくじゃらの胸まで長々と垂れた
頤髯
(
あごひげ
)
だろう。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
赤い大理石のやうな頬と白い
頤髯
(
あごひげ
)
との間に温かい高雅な微笑を湛へて僕等と握手をした。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
それなのに老人は、汚れた縞の
袷
(
あわせ
)
から、垢染みたシャツの袖を
覗
(
のぞ
)
かせて、寒さに
顫
(
ふる
)
えていた。そしてその老人は、お
伽噺
(
おとぎばなし
)
の中にでも出て来る老人のように、長い白い
頤髯
(
あごひげ
)
を持っていた。
再度生老人
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
キャラコさんは、じぶんのいったことが聞えなかったのだろうとおもって、いちばんうしろからゆく、
瘠
(
や
)
せた、
細面
(
ほそおもて
)
の、どこかキリストに似たおもざしの
頤髯
(
あごひげ
)
の男に、もう一度たずねてみる。
キャラコさん:04 女の手
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
こっちは、
頤髯
(
あごひげ
)
がある——向う側のビルディングの
窓硝子
(
まどガラス
)
が照空灯の反射で、ピカリと
閃
(
ひらめ
)
いたので、その
頤髯
(
あごひげ
)
が見えた。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
怜悧
(
れいり
)
で不愉快な様子、渋めた顔つき、黒い毛、アッシリアの王様みたいな長い角張った
頤髯
(
あごひげ
)
をもっていた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
すると檻の横につくり物としては、真に迫っている
大鉞
(
おおまさかり
)
をつき、ノッソリと立っていた
頤髯
(
あごひげ
)
のある男が
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
敷居の外へ半分ばかり出した膝を揃えて
支
(
つ
)
いたまま、
呆気
(
あっけ
)
に取られたが、上目づかいで鴨川の
面
(
おもて
)
を
窺
(
うかが
)
うと、
渠
(
かれ
)
は目を
瞑
(
ねむ
)
って俯向きながら、
頤髯
(
あごひげ
)
のむしゃとある中へ苦笑を包んで
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ある日、ルノアール
市場
(
いちば
)
の一軒の酒屋の門口で、濃い
頤髯
(
あごひげ
)
のあるイタリー音調のひとりの男が、車除石の上に上って、神通力を発散してるかと思われるような不思議な文を声高に読み立てていた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
言いながら再度生老人は、白い煙のような
頤髯
(
あごひげ
)
を撫でた。
再度生老人
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「やあ、警部どの」と
頤髯
(
あごひげ
)
の
生
(
は
)
えた警官が青ざめた顔を近づけました。「やっと
下火
(
したび
)
になりました。その代り、小田原の町は御覧のとおり
滅茶滅茶
(
めちゃめちゃ
)
です」
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
背の高い好男子で、清らかな眼、どちらも金
褐
(
かっ
)
色の口
髭
(
ひげ
)
と小
頤髯
(
あごひげ
)
、あけっ放しの快活な様子をしていた。ある日書留郵便をもってオリヴィエの室にはいって来た。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
べとりと
頤髯
(
あごひげ
)
一面なその柔和な口を結んで、足をやや
爪立
(
つまだ
)
ったと思うと、両の肩で、
吃驚
(
おどろき
)
の腹を
揉
(
も
)
んで、けたたましく飛び
退
(
の
)
いて、下なる網に
躓
(
つまず
)
いて倒れぬばかり、きょとんとして
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
頤髯
(
あごひげ
)
、
猪首
(
いくび
)
、長身、肥大、郡兵衛はそういう風采であり、年は四十二、三であった。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「あいつが俺に気づかなかったのは、もっけの仕合わせというものだ。向こうでも気がついたらもうきやしねえ。危うく取りもらす所だった。この
髯
(
ひげ
)
のおかげで助かったんだ。このおかしな
頤髯
(
あごひげ
)
でな、このかわいいちょっとおもしろい頤髯でな。」
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
もし赤い血にまみれ一本一本ピンと立った
頤髯
(
あごひげ
)
の根もとに、ひとつかみほどの
白毛
(
しらが
)
を発見しなかったら、これを博士と認知するのが相当困難であったろう。
人造人間事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
エーレンフェルトは、小柄で、頭が
禿
(
は
)
げ、微笑を浮かべ、
茶褐
(
ちゃかっ
)
色の
頤髯
(
あごひげ
)
を
生
(
は
)
やし、元気のない繊細な顔つきをし、
鈎
(
かぎ
)
鼻であって、流行記事や世間的雑報を雑誌に書いていた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ヒイッと悲鳴で
仰向
(
あおむ
)
けに土間に転がり落ちると、その下になって、ぐしゃりと
圧拉
(
ひしゃ
)
げたように、膝を
頭
(
ず
)
の上へ立てて、
蠢
(
うご
)
めいた
頤髯
(
あごひげ
)
のある立派な紳士は、
附元
(
つけもと
)
から
引断
(
ひきき
)
れて片足ない
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
頤髯
(
あごひげ
)
が長く腹まで垂れて、それが沙漠の風に吹かれて、
仏子
(
ほうす
)
のように
飜
(
ひるが
)
った。
沙漠の美姫
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
すると反対の側から、年の頃は
六十路
(
むそじ
)
を二つ三つ越えたと思われる半白の
口髭
(
くちひげ
)
と
頤髯
(
あごひげ
)
、
凛々
(
りり
)
しい将軍が、六尺豊かの長身を、静かにマイクロフォンに近づけた。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
逆立った
口髯
(
くちひげ
)
を
生
(
は
)
やし、とがった短い
頤髯
(
あごひげ
)
を生やし、背の低い、赤ら顔の、小太りの人であったが、横柄ななれなれしさでクリストフに呼びかけ、
脂
(
あぶら
)
ぎった両手で彼の頬をたたき
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
其奴
(
そいつ
)
の
間夫
(
まぶ
)
だか、田楽だか、
頤髯
(
あごひげ
)
の
凄
(
すさ
)
まじい赤ら顔の五十男が、時々長火鉢の前に
大胡坐
(
おおあぐら
)
で、右の叔母さんと
対向
(
さしむかい
)
になると、茶棚
傍
(
わき
)
の柱の下に、櫛巻の姉さんが、
棒縞
(
ぼうじま
)
のおさすり着もの
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
頤髯
(
あごひげ
)
たくましい彼の顔は、すぐに無邪気なものになった。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
なるほど
頤髯
(
あごひげ
)
に
見覚
(
みおぼ
)
えのある戸波博士が、帆村の手によって牛乳車の中から助け出されていた。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と揚々として
頤髯
(
あごひげ
)
掻い撫ずれば、美人はひたすら
媚
(
こび
)
を献じ
金時計
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
骸骨
(
がいこつ
)
のように大きい頭、黒い眼鏡、特徴のある
口髭
(
くちひげ
)
頬鬚
(
ほおひげ
)
頤髯
(
あごひげ
)
、黒い中国服に包んだ痩せた体——一体この体のどこからあのようなすばらしい着想とおそるべき精力とが出て来るのであろう。
共軛回転弾:――金博士シリーズ・11――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と、
頤髯
(
あごひげ
)
のある男がお
喋
(
しゃべ
)
りを中止して、帆村の方に
合図
(
あいず
)
をした。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
頤
漢検1級
部首:⾴
15画
髯
漢検1級
部首:⾽
15画
“頤”で始まる語句
頤
頤使
頤鬚
頤杖
頤紐
頤髭
頤養
頤先
頤斎
頤骨