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頤鬚
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あごひげ
ふりがな文庫
“
頤鬚
(
あごひげ
)” の例文
それは森の大入道の尨毛の頭に生えた髪の毛だ。その首の
下部
(
した
)
には
頤鬚
(
あごひげ
)
が水に洗はれてをり、
頤鬚
(
あごひげ
)
の下も、
頭髪
(
かみのけ
)
の上も高い青空だ。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:03 怖ろしき復讐
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
彼は自分の
頤鬚
(
あごひげ
)
よりも、むしろその堂々たる体格の方を自慢にしている。というのが、牝山羊も頤の下にちゃんと鬚を生やしているからである。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
つい最近退職したばかりの軍人のよくするように、
口髭
(
くちひげ
)
だけをたくわえて、
頤鬚
(
あごひげ
)
は今のところきれいに
剃
(
そ
)
り落としている。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
ハンメル・ランクバック男爵閣下は、
頬髯
(
ほおひげ
)
と
口髭
(
くちひげ
)
とをはやし、
頤鬚
(
あごひげ
)
を
剃
(
そ
)
ってる、さっぱりとした小さな老人であった。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そして毛ぶかい
頤鬚
(
あごひげ
)
や
口髭
(
くちひげ
)
をブルブルふるわせながら、
低声
(
こごえ
)
の皺がれ声で何かブツブツいっていた。どうやら警官の取扱いに憤慨しているらしかった。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
それに
続
(
つづ
)
いては
小体
(
こがら
)
な、
元気
(
げんき
)
な、
頤鬚
(
あごひげ
)
の
尖
(
とが
)
った、
髪
(
かみ
)
の
黒
(
くろ
)
いネグル
人
(
じん
)
のように
縮
(
ちぢ
)
れた、すこしも
落着
(
おちつ
)
かぬ
老人
(
ろうじん
)
。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
白い仕事着を着た
頤鬚
(
あごひげ
)
のある、年若な、面長な顏の弟子らしい人と男達の話して居る間に、自分は眞中に置かれた出來上らない大きい女の石膏像を見て居た。
巴里の旅窓より
(旧字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
髪もこんなぶざまな
剃髪
(
トンシュア
)
などにしていないで、襟まで垂れている髪を波のようにちぢらせて、立派に伸びた
頤鬚
(
あごひげ
)
までもたくわえて、優雅な風采でいられるのに……
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
頭が
禿
(
は
)
げ、額が高く、黒い
頤鬚
(
あごひげ
)
をはやし、なでつけることのできない荒い
口髭
(
くちひげ
)
をはやしてる、相当な服装をしたひとりの市民が、通行人に公然と弾薬を配っていた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
顔も大きいが
身体
(
からだ
)
も大きくゆったりとしている上に、職人上りとは誰にも見せぬふさふさとした
頤鬚
(
あごひげ
)
上髭
(
うわひげ
)
頬髯
(
ほおひげ
)
を
無遠慮
(
ぶえんりょ
)
に
生
(
は
)
やしているので、なかなか立派に見える中村が
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ノックして入って来たのは、モーニングを着た、
頤鬚
(
あごひげ
)
のある、四十年配の立派な紳士でした。
焔の中に歌う
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
わけても正面敷皮の上に寛々と
胡座
(
こざ
)
した武士はひときわ威風
四辺
(
あたり
)
を払って、一座の頭目と一眼で知れた。雪のように白い
頤鬚
(
あごひげ
)
を垂らし、頭髪を紫の
茶筅
(
ちゃせん
)
に取り上げ茶の胴服を
纏
(
まと
)
っていた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
翌日
(
あくるひ
)
の朝種彦は独り
下座敷
(
したざしき
)
なる竹の
濡縁
(
ぬれえん
)
に出て顔を洗い食事を済ました
後
(
のち
)
さえ何を考えるともなく折々
毛抜
(
けぬき
)
で
頤鬚
(
あごひげ
)
を抜きながら、
昨夜
(
ゆうべ
)
若い男女の忍び
逢
(
あ
)
ったあたりの
庭面
(
にわもせ
)
に
茫然
(
ぼんやり
)
眼を移していた。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
唯
(
と
)
、
何
(
なん
)
と、
其
(
そ
)
の
棕櫚
(
しゆろ
)
の
毛
(
け
)
の
蚤
(
のみ
)
の
巣
(
す
)
の
處
(
ところ
)
に、
一人
(
ひとり
)
、
頭
(
づ
)
の
小
(
ちひ
)
さい、
眦
(
めじり
)
と
頬
(
ほゝ
)
の
垂下
(
たれさが
)
つた、
青膨
(
あをぶく
)
れの、
土袋
(
どぶつ
)
で、
肥張
(
でつぷり
)
な
五十
(
ごじふ
)
恰好
(
かつかう
)
の、
頤鬚
(
あごひげ
)
を
生
(
はや
)
した、
漢
(
をとこ
)
が
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
るぢやありませんか。
何
(
なに
)
ものとも
知
(
し
)
れない。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
かけた脊の高い、少し猫脊のような人で
頤鬚
(
あごひげ
)
を
真珠塔の秘密
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
彼
(
かれ
)
の
容貌
(
ようぼう
)
はぎすぎすして、どこか
百姓染
(
ひゃくしょうじ
)
みて、
頤鬚
(
あごひげ
)
から、べッそりした
髪
(
かみ
)
、ぎごちない
不態
(
ぶざま
)
な
恰好
(
かっこう
)
は、まるで
大食
(
たいしょく
)
の、
呑抜
(
のみぬけ
)
の、
頑固
(
がんこ
)
な
街道端
(
かいどうばた
)
の
料理屋
(
りょうりや
)
なんどの
主人
(
しゅじん
)
のようで
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
三人の暴徒が彼女らに手伝っていた。髪の毛が長くて
頤鬚
(
あごひげ
)
と
口髭
(
くちひげ
)
とのあるたくましい男どもで、リンネル女工のような手つきで布を
選
(
え
)
り分けながら、彼女らをおびえさしていた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
頤
漢検1級
部首:⾴
15画
鬚
漢検1級
部首:⾽
22画
“頤”で始まる語句
頤
頤髯
頤使
頤杖
頤紐
頤髭
頤養
頤先
頤斎
頤骨