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顎鬚
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あごひげ
ふりがな文庫
“
顎鬚
(
あごひげ
)” の例文
宗十頭巾に
十徳
(
じっとく
)
姿、
顎鬚
(
あごひげ
)
白い、
好々爺
(
こうこうや
)
然とした
落語家
(
はなしか
)
仲間のお稽古番、
桂
(
かつら
)
かん治爺さんの姿が、ヒョロヒョロと目の前に見えてきた。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
背丈は一メートル五十ちょっとで、痩せていて白髪頭で、しかしまっ黒な口髭をぴんとはね、やはりまっ黒な
顎鬚
(
あごひげ
)
をたくわえていた。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
顎鬚
(
あごひげ
)
を
綺麗
(
きれい
)
に削り、鼻の下の
髭
(
ひげ
)
を短かく摘み、白麻の
詰襟服
(
つめえりふく
)
で、
丸火屋
(
まるぼや
)
の台ラムプの蔭に座って、
白扇
(
はくせん
)
を使っている姿が眼に浮かぶ。
父杉山茂丸を語る
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
大巻運平老は、とぼけたようにそう答えて、
顎鬚
(
あごひげ
)
をぐいとひっばった。その大きな眼玉は、天井を見ている。あまり愉快そうな表情ではない。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
近づいて行って見ると、玄蕃允は、小姓の一名に鏡を持たせ、また一名には
鬢盥
(
びんだらい
)
を捧げさせて、青空の下に他念なく、
顎鬚
(
あごひげ
)
を
剃
(
そ
)
っているところだった。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
田舎で春から開業している菊太郎の評判などを、
小父
(
おじ
)
が長い
胡麻塩
(
ごましお
)
の
顎鬚
(
あごひげ
)
を
仕扱
(
しご
)
きながら
従姉
(
いとこ
)
に話して聞かせた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
或時レオナルドが
例
(
いつも
)
のやうに長い
顎鬚
(
あごひげ
)
を
扱
(
しご
)
きながら、
市街
(
まち
)
を散歩してゐると、五六人の若い市民が、ダンテの詩に就いて、
喧
(
やかま
)
しく議論をしてゐるのに
衝突
(
ぶつつか
)
つた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
おとうさんは
顎鬚
(
あごひげ
)
のそりあとを
艶
(
つや
)
やかに
灯
(
ほ
)
かげに照らして
煙草
(
たばこ
)
のけむりを
静
(
しずか
)
に吐いてゐました。
秋の夜がたり
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
あまり背が高くなく、痩せこけて、弱々しげな体格をして、髪の毛も赤く、まばらな
顎鬚
(
あごひげ
)
も赤みがかかっていたが、この鬚はささくれ立った
垢
(
あか
)
すりの
糸瓜
(
へちま
)
にそっくりであった。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
文部省がこのような教師を雇いいれたことは手柄であった。ブルウル氏は、チエホフに似ていた。鼻眼鏡を掛け短い
顎鬚
(
あごひげ
)
を内気らしく生やし、いつもまぶしそうに
微笑
(
ほほえ
)
んでいた。
猿面冠者
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「畜生!」と、彼は椅子から飛びあがって、憤怒の余りに
顎鬚
(
あごひげ
)
を逆立てて叫んだ。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
笠松博士は、半分ほども銀色の
白毛
(
しらが
)
の混っている長い
顎鬚
(
あごひげ
)
を静かに扱きながら、私達学生席の方を、学生の一人一人の顔を睨みつけるような眼をして、錆のある声で朗々と続けて行った。
三稜鏡:(笠松博士の奇怪な外科手術)
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
その濃い
口髭
(
くちひげ
)
と
顎鬚
(
あごひげ
)
とは、博士の顔に冒すべからざる威厳を与えていた。
五階の窓:06 合作の六(終局)
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
博士は
顎鬚
(
あごひげ
)
をしごきながら、
徐
(
おもむ
)
ろに語をついでいう。
心霊の抱く金塊
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
壁土をこねる男の顔みしが
顎鬚
(
あごひげ
)
のみのみゆるなりけり
小熊秀雄全集-01:短歌集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
そのくぼんだ眼と、突き出た頬骨と、一寸あまりにも延びた黄色い
顎鬚
(
あごひげ
)
とが、静かな遠いところへ彼を引っぱっていくように思えたのである。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
……鼻が
尖
(
と
)
んがって……眼が落ち
窪
(
くぼ
)
んで……
頭髪
(
あたま
)
が
蓬々
(
ぼうぼう
)
と乱れて……
顎鬚
(
あごひげ
)
がモジャモジャと延びて……。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
一座はお庄の知らない顔ばかりであった。
顎鬚
(
あごひげ
)
の延びた叔父の顔は、蒼白い電燈の光に
窶
(
やつ
)
れて見えた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
調子はずれの軍歌を唄いながら、桜の下から
顎鬚
(
あごひげ
)
の濃い五十男が、加奈子の佇って居る庭に面した廊下の窓の方へ現われた。だぶだぶの帆布のようなカーキ色の服を着て居る。
春:――二つの連作――
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それまで、畳にあぐらをかき、
顎鬚
(
あごひげ
)
をむしって天井ばかりを見ていた権田原先生は、思い出したようにたずねた。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
中佐である
養嗣子
(
やうしし
)
の
顎鬚
(
あごひげ
)
には、少し白い毛が交つてゐた。久しく
逢
(
あ
)
はなかつた嫁さんは、
身装
(
みなり
)
もかまはずに、肥つた体を忙しく動かして、好きマダム振りを発揮してゐた。
町の踊り場
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
すると門口から、
背
(
せ
)
の馬鹿に高い、頭のつるつるに禿げた、真白な
顎鬚
(
あごひげ
)
のある老人がはいって来た。次郎は、一目見ると、それが母の葬式の時に来ていた人だということを、すぐ思い出した。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
半白の
顎鬚
(
あごひげ
)
を胸まで垂らした老骨相家は言うのだった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
と、正木のお祖父さんは、静かに眼をつぶって、また
顎鬚
(
あごひげ
)
をしごいた。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
顎
常用漢字
中学
部首:⾴
18画
鬚
漢検1級
部首:⾽
22画
“顎”で始まる語句
顎
顎髯
顎骨
顎髭
顎紐
顎打
顎杖
顎下
顎化
顎尖