頤髭あごひげ)” の例文
と、先に立った頤髭あごひげのある土色の顔に部厚の近眼鏡をかけた小男が奇声でもって挨拶あいさつをした。それは工場主である理学博士赤沢金弥あかざわきんやと名乗る人物だった。
人間灰 (新字新仮名) / 海野十三(著)
さう云つて、彼は「山羊」と綽名をつけられてゐるその頤髭あごひげを、馴れた手つきで、さつとしごいた。
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
ただ白鳥はくてう君には髭が無いけれどマス君にはうしろねた頤髭あごひげがある。見物人には一撃のもとにマス君がやぶられさうあやぶまれたが、しかしマス君は見掛に寄らず最後まで勇敢に戦つて立派に名誉を恢復くわいふくした。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
大作は縁側へ出、庭に向って、毛抜きで、頤髭あごひげを抜いていた。
三人の相馬大作 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
「茶色の洋服を着た大きな人物だ。頤髭あごひげを生やしているよ」
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)