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顎髯
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あごひげ
ふりがな文庫
“
顎髯
(
あごひげ
)” の例文
木魚のおじいさんが
吃驚
(
びっくり
)
して、医の方で自分の先生のような木下さんという、旗本上りの
顎髯
(
あごひげ
)
の長いお爺さんを連れて来て手術をした。
旧聞日本橋:14 西洋の唐茄子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「さればさ、さればこの件だが」不識先生は、
顎髯
(
あごひげ
)
をしごいて云った、「儂がみたところ、家主吾助に憑いておるのは天一坊であるな」
長屋天一坊
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
祖母は、誰にでもすこし気が変だと思われていました。幾つぐらいでしたろう? 顔に千三十八の
皺
(
しわ
)
があって、
顎髯
(
あごひげ
)
が生えていました。
踊る地平線:11 白い謝肉祭
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
アンリ四世のような見事な
顎髯
(
あごひげ
)
をはやした五十二三の紳士に紹介されたことがあったので、もしやと思って、そのほうをさがして見る気になった。
青髯二百八十三人の妻
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
またきのうの熊みたいな
顎髯
(
あごひげ
)
の持主かと期していると、思いのほかな使者と、その使者の携えている白芍薬の枝を見て
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
今大和の法隆寺村に隠棲してゐる北畠治房
男
(
だん
)
の
狂人染
(
きちがひじ
)
みた眼の色から
顎髯
(
あごひげ
)
の長く胸元に垂れかゝつた恰好を、ある洋画家が
甚
(
ひど
)
く
賞
(
ほ
)
め立てておいて
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
控間にいた秘書らしい背広の男に案内されて、彼のわきに近づく伸子を見ると、藤堂駿平は、鼻眼鏡をかけ、くさびがたの
顎髯
(
あごひげ
)
をもった顔をふりむけて
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
一間に閉じこもって破れて落ちる
文殻
(
ふみがら
)
を綴り合わせているどころの話ではなく、彼は毎日のように
顎髯
(
あごひげ
)
をしごき乍ら、赤耀館へ憎々しい姿を現わしました。
赤耀館事件の真相
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
蒲留仙 五十前後の
痩
(
や
)
せてむさくるしい
容
(
なり
)
をしている詩人、
胡麻塩
(
ごましお
)
の長いまばらな
顎髯
(
あごひげ
)
を生やしている。
涼亭:――序に代へて――
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
破れた唐紙の陰には、大黒頭巾を着た爺さんが、火鉢を抱えこんで、人形のように坐っている。真っ白い長い
顎髯
(
あごひげ
)
は、豆腐屋の爺さんには
洒落
(
しゃれ
)
すぎたものである。
千鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
たしかシュテッヘは、
黒髪
(
ブルネット
)
で、細い唇よりの髭と、三角の
顎髯
(
あごひげ
)
をつけておりましたね。そして、だいたいの眼鼻立ちや輪廓が、艇長と大差なかったのではありませんか
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
尊は彼の言葉を聞くと、思いのほか
真面目
(
まじめ
)
な調子になって、白い
顎髯
(
あごひげ
)
を
捻
(
ひね
)
りながら
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
顎髯
(
あごひげ
)
の伸びた蒼白い顔は、明い春先になると、一層貧相らしくみえた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ピンとはねた小さな
口髭
(
くちひげ
)
、学者臭く三角に刈った濃い
顎髯
(
あごひげ
)
、何物をも見透す
鷲
(
わし
)
のように鋭い目には、
黒鼈甲縁
(
くろべっこうぶち
)
のロイド
眼鏡
(
めがね
)
をかけ、大柄なガッシリした身体を、折目正しい夏のモーニングに包んで
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
寮長は
顎髯
(
あごひげ
)
を上に向け、南画のなかの人物のやうに背中を丸くして、一心に
凝視
(
みつ
)
めてゐた。強度の近眼でよく見ようとする努力のために、今年の芽を
可愛
(
かはい
)
く
萌
(
ふ
)
いてゐる花床を知らず/\踏んでゐた。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
少々胡麻鹽になつた
顎髯
(
あごひげ
)
をしごき乍ら、唐天竺の都々逸なんかそゝつて通つた秋岳先生が、妾宅通ひも年のせゐで段々人目に立つやうになつたし、二つ世帶を
賄
(
まか
)
なつては、諸掛りも大變だといふので
銭形平次捕物控:259 軍学者の妾
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
えたいも知れない老人は、
顎髯
(
あごひげ
)
をしごいて大阪屋を顧みた。
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
悲しみ泣けり、譬ふれば
顎髯
(
あごひげ
)
長き獅子王の
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
顎髯
(
あごひげ
)
生やし
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
赤錆
(
あかさ
)
びたような白髪の、そして同色の
顎髯
(
あごひげ
)
を伸ばした、常時みずばなを垂らしている老人を伴れて来て、自分の家に泊めて
長屋天一坊
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
黒い
顎髯
(
あごひげ
)
を蓄え、肩の幅、胸幅も、常人よりずっと広くて、背も高い。
革足袋
(
かわたび
)
に草履
穿
(
ば
)
きのその足の運びが、いかにも確かに大地を踏んでいるというように見えて立派である。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
僧が岩を
伝
(
つと
)
うてあがって来た。顔の大きな男はその方に注意しながら
顎髯
(
あごひげ
)
の男に云った。
岩魚の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
頭は三寸程も伸びた毛をモジャモジャと縮らせ、ピンとはねた口髭、三角型に刈込んだ
顎髯
(
あごひげ
)
、それがずっと目の下まで密生して、顔の肌を
埋
(
うず
)
め尽している。その
毛塊
(
もうかい
)
の真中に
鼈甲縁
(
べっこうぶち
)
の近眼鏡がある。
悪霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
栗のイガを割ったように、喜左衛門は
顎髯
(
あごひげ
)
の間から、赤い口を見せて、笑ってしまった。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
病弱になってから生やした
顎髯
(
あごひげ
)
が殆んど白く、骨立った頬やするどい眼のあたりに非凡な人のひらめきが感じられるけれども、全体としては
憔悴
(
しょうすい
)
の色がかなり強くあらわれていた。
主計は忙しい
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
とさもおかしくてたまらないと云うような
嘲
(
あざけ
)
り笑いをする者もあるのです、私は
怪
(
け
)
しからん奴だと思って、見ると赤い帽子を
著
(
き
)
た、
顎髯
(
あごひげ
)
の白い、それもまばらに
生
(
は
)
えた老人が笑ってるのです
港の妖婦
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
髪は油の光もない
茶筌
(
ちゃせん
)
に結び、色浅黒く
爛々
(
らんらん
)
たる眼は七万石の主公随臣を
睥睨
(
へいげい
)
して垢じみた黒紋服に太骨の鉄扇を
右手
(
めて
)
に握り、左の手は胸までそよぐ
顎髯
(
あごひげ
)
を
扱
(
しご
)
いて悠々然と座に着いた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
顎髯
(
あごひげ
)
を生やした男が独りで高声をあげた。これが頭株らしい。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「どないにするもんけ、やろうよ」と、
顎髯
(
あごひげ
)
の男が云った。
岩魚の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
青い
顎髯
(
あごひげ
)
の剃り
痕
(
あと
)
の中に、健康そうな歯並みを、奥まで見せた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
顎髯
(
あごひげ
)
をいじってから云った
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
顎
常用漢字
中学
部首:⾴
18画
髯
漢検1級
部首:⾽
15画
“顎”で始まる語句
顎
顎鬚
顎骨
顎髭
顎紐
顎打
顎杖
顎下
顎化
顎尖