南窗集なんそうしゅう
靜かな村の街道を筧が横に越えてゐる それに一羽の鴉がとまつて木洩れ陽の中に 空を仰ぎ地を眺め私がその下を通るとき ある微妙な均衡の上に翼を戢めて秤のやうに搖れてゐた たぎり初めた湯沸し……それはお晝休みの小學校の校庭だ 藤棚がある池がある僕 …