髭髯ひげ)” の例文
「さやうでございますよ、年紀としごろ四十ばかりの蒙茸むしやくしや髭髯ひげえた、身材せいの高い、こはい顔の、まるで壮士みたやうな風体ふうていをしておいででした」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
老人は例の雪のような髭髯ひげをひねくりながらさみしそうに悲しそうに、意地のわるそうに笑ったばかりで何とも答えなかった。
河霧 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
その人はよはひ三十六七と見えて、形癯かたちやせたりとにはあらねど、寒樹の夕空にりて孤なる風情ふぜいひとり負ふ気無げなうるはしくも富める髭髯ひげは、下にはあたりまで毿々さんさんと垂れて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
髭髯ひげが雪のように白いところからそのあだ名を得たとはいうものの小さなきたならしい老人で、そのころ七十いくつとかでもすこぶる強壮なこつこつした体格からだであった。
河霧 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)