退のけ)” の例文
それから里朝りちょうの曲弾も首尾よく相済んだ跡は、お定まりの大小芸妓の受持となって、杯酒しおわかすと昔は大束に言って退のけたが、まこと逆上返のぼせあがる賑いで
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
つかんで息絶いきたへたりお光はほつと長息といき夜具やぐかい退のけてよく/\見れば全く息は絶果たえはてて四邊は血汐ちしほのからくれなゐ見るもいぶせき景状ありさまなり不題こゝに大藤おほふぢ左衞門は娘が出しをすこしも知ずふしてを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
藻西太郎へ疑いを掛けようとしてかえって彼の疑いを掃い退のける様な者です、人を殺して後で其血で文字を書附るほど落着た曲者くせもの真逆まさかに老人の左の手を右の手とは間違えますまい
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
付てうはさしけるゆゑ彌々いよ/\人々あつまり來り自身番の前はきりを立る地もなき程なれば番人ばんにん鐵棒かなぼうを引出し皆々人を拂ひ退のけるに笠原粂之進は大橋文右衞門并びに油屋の番頭久兵衞の兩人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)