退ひい)” の例文
ところ今歳ことしの五月です、僕は何時いつもよりか二時間も早く事務所を退ひいて家へ帰りますと、そのは曇って居たので家の中は薄暗いうちにも母のへやことに暗いのです。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
自分の性質の特色ともいうべき温和な人なつこいところはほとんど消えせ、自分の性質の裏ともいうべき妙にひねくれた片意地のところばかり潮の退ひいあとの岩のように、ごつごつと現われ残ったので
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)