“しりぞ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:シリゾ
語句割合
退41.3%
31.5%
11.6%
5.2%
1.8%
1.6%
1.6%
1.3%
1.3%
1.3%
引退0.3%
0.3%
擯斥0.3%
0.3%
蹌踉0.3%
退却0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
身こそ西山せいざん退しりぞいて、藩政の一切を、嫡子の綱条つなえだや重臣たちに委しているが、決して、その自覚からのがれているわけではなかった。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
火を求むる幼な児の要求を、無下むげに荒々しくしりぞけた女は、いきなり頭上の鉄輪をはずし、あわてて蝋燭の火をかき消してしまいました。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
わたしも私自身のうちに、冷酷な自己の住む事を感ずる。この嘲魔てうましりぞける事は、私の顔が変へられないやうに、私自身には如何いかんとも出来ぬ。
点心 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
かくて彼等はあたかも迷ひ覺めしごとく去り、我等はかく多くのこひと涙をしりぞくる巨樹おほきのもとにたゞちにいたれり 一一二—一一四
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
手に白刃を拔き持ちてかの女房を逐ひしりぞけ、大音に呼びけるやう。物にや狂ふ、女子をなご聖母マドンナいかでか汝がたすけを求めん。
踏みまよいしりぞけられて、オヤフロの野と交わる尾根のふもとを歩かせられた。ここは、二つの地形のわかれ目にあたる。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
自分はかかる悲哀のなかに含まるる無限と永遠の感じを、人生にきわめて重くして深きものと信じるものである。かかる感じを空想として無下にしりぞくることはけっしてできない。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
そうかと思うと騶従すうじゅうしりぞけ、単騎独行山谷を跋渉ばっしょうし、魑魅魍魎ちみもうりょうを平らげたというから、その行動は縄墨をもっては、断じて計ることが出来なかったらしい。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
若林は一言のもとにしりぞけ、金で面倒を見てやっていれば、それで文句はないはずだというふうだった。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
この時の事勢においてこれを抑制よくせいすることあたわず、ついに姑息こそくさくで、その執政をしりぞけて一時の人心をなぐさめたり。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
食事を終った教団の人々は、めいめい食器を始末し、その辺を清潔に掃除し、威儀を正して左右に引退しりぞく。食物の残りを入れた壺ひとつだけ、内庭の中央に残し置く。
阿難と呪術師の娘 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
作者が都合の好いように作り出した脚色としてしりぞけるにも及ばない。最初の立案を中途で変える方が却てよからぬ結果をもたらすかも知れないと云う心持にもなって来る。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
一概に平凡と擯斥しりぞけた信州の風景は、『山気』を通してかへつて深く面白く眺められるやうになつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
よつせいいへせり。の・老子らうしまなものすなは儒學じゆがくしりぞけ、儒學じゆがくまた老子らうししりぞく。『みちおなじからざれば、あひめにはからず』とは、あにこれ
訳もなく二足三足背後の方へ蹌踉しりぞいた、けれど又思えば余り忘誕ぼうたんな話である
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
……ええか……よく聞け……軍医の学問の第一として教えられることは自傷ゼルウー鑑別方法みわけかたである。戦場から退却しりぞきたさに、自分自身で作る卑怯な傷の診察し方である。
戦場 (新字新仮名) / 夢野久作(著)