しりぞ)” の例文
恋愛を描ける小説、婦女の裸体を描ける絵画の類、ことごとくこれをしりぞくべき。悉くこれを排けて可なり。
猥褻独問答 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
若林は一言のもとにしりぞけ、金で面倒を見てやっていれば、それで文句はないはずだというふうだった。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
夢は迷信としてしりぞくべきか
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
今や文壇の趨勢既に『万葉』『古今集』以来古歌固有の音律を喜ばずまた枕詞まくらことば掛言葉かけことば等邦語固有の妙所をしりぞけこれに代ふるに各自辺土の方言と英語翻訳の口調くちょうを以てせんとす。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
むしろ之をきょうとなしてしりぞけている。治国の事はこれを避けて論外にく。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)