しりぞ)” の例文
すなわち国家風教ふうきょうたっと所以ゆえんにして、たとえば南宋の時に廟議びょうぎ主戦しゅせん講和こうわと二派に分れ、主戦論者は大抵たいていみなしりぞけられてあるいは身を殺したる者もありしに
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
自分はかかる悲哀のなかに含まるる無限と永遠の感じを、人生にきわめて重くして深きものと信じるものである。かかる感じを空想として無下にしりぞくることはけっしてできない。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
著わしディスレリーの周旋しゅうせんにかかる年給をしりぞけて四角四面に暮したのである。
カーライル博物館 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
頑漢ぐわんかんありて、社會の制裁と運命の自然なる威力に從順なる事能はず、これがためひとにはしりぞけられ、にはてられ、事業を愚弄し、人間をくだらぬものとし、階級秩序の如きをうるさきものとし
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
「それはひどいな。ほんとですか。しかしそういう受難は聖者の生涯には附きものですね。人に賤しめられしりぞけられてこそ聖者でしょ。まあ癩病らいびょう人みたいなものだな。誰もその毫光ごうこうには気がつかない。」
西隣塾記 (新字新仮名) / 小山清(著)
試みに見るべし、有名なる英国の政治家チャールス・ヂルク氏は、誠に疑わしき艶罪えんざい(ある人の説く所にれば全く無根のえんなりともいう)を以て政治社会をしりぞけられたり。
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)