トップ
>
卻
>
しりぞ
ふりがな文庫
“
卻
(
しりぞ
)” の例文
〔評〕三條公の筑前に在る、或る人其の
旅況
(
りよきやう
)
の
無聊
(
むれう
)
を
察
(
さつ
)
して美女を進む、公之を
卻
(
しりぞ
)
く。某氏
宴
(
えん
)
を
開
(
ひら
)
いて女
樂
(
がく
)
を
設
(
まう
)
く、公
怫
(
ふつ
)
然として去れり。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
かくて彼等はあたかも迷ひ覺めしごとく去り、我等はかく多くの
請
(
こひ
)
と涙を
卻
(
しりぞ
)
くる
巨樹
(
おほき
)
のもとにたゞちにいたれり 一一二—一一四
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
ト同時に、この内証話からは、
太
(
いた
)
く自分が遠ざけられ、
憚
(
はばか
)
られ、
疎
(
うと
)
まれ、かつ
卻
(
しりぞ
)
けられ、邪魔にされたごとく思ったので、何となく針の
筵
(
むしろ
)
。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この句の線香は坐禅観法の人の座辺に立てたものかも知れぬが、
縷々
(
るる
)
たる香煙はなお多少蚊を
卻
(
しりぞ
)
ける力を持っている。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
旅館の主人、馬を勧め、
剛力
(
がうりき
)
を勧め、
蓆
(
ござ
)
を勧め、
編笠
(
あみがさ
)
を勤む、皆之を
卻
(
しりぞ
)
く、この極楽の山、
只
(
たゞ
)
一本の
金剛杖
(
こんがうづゑ
)
にて足れりと
広舌
(
くわうぜつ
)
して、朝まだき裾野を
往
(
ゆ
)
く。
霧の不二、月の不二
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
▼ もっと見る
己は極力それを
卻
(
しりぞ
)
けようとした。しかし卻けても又来る。敵と対陣して小ぜりあいの絶えないようなものである。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
葡萄牙
(
ポルトガル
)
人を先駆として東洋の
印度
(
インド
)
や支那や日本に力を伸して来たが、今はすでに英国が
葡萄牙
(
ポルトガル
)
を
卻
(
しりぞ
)
け、
和蘭
(
オランダ
)
を圧して、東洋貿易を独占しようとして、支那と交易し
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
この時アヌンチヤタが我を
卻
(
しりぞ
)
けて人に從ひし悲痛は、却りて我心を抑し鎭むる
媒
(
なかだち
)
となりぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
彼は自ら命じ自ら行なって、自分のあらゆる幸福を相次いで
卻
(
しりぞ
)
けてしまった。一日にしてコゼットをすべて失った後、次に再び彼女を少しずつ失うという、悲惨な目に彼は出会った。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
私のせつない願いを
卻
(
しりぞ
)
けて、私を置き去りにした母である。私は今なおそれを忘れることはできない。けれどこうして親身に私のことを思ってくれることを思うと、私もやはり嬉しかった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
父の兄弟に吉田大助あり、即ち松陰の養父なり。彼れ剛正にして
夙
(
つと
)
に大志あり。経史を精研し、一家言を為さんと欲す。
瘍
(
よう
)
を病み、自から起たざるを知り、異薬を
卻
(
しりぞ
)
け、特に
従容
(
しょうよう
)
として死す。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
僕は
妻
(
さい
)
の愛に自信があるから、広瀬君の冗談を一言で
卻
(
しりぞ
)
けてしまった。
妻の秘密筥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
私は、家びとの望みを
卻
(
しりぞ
)
けて、国学院に入り、又、そこを出てから二十年、長い扶養を、家から受け続けた。兄も段々あきらめて、私の遊び半分の様な為事の成長を、待ち娯む気になつて居たらしい。
古代研究 追ひ書き
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
(マルガレエテに敬意を表して
卻
(
しりぞ
)
く。)
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
それ己より一切の
嫉
(
ねた
)
みを
卻
(
しりぞ
)
くる神の善は、己が中に燃えつゝ、光を放ちてその
永遠
(
とこしへ
)
の美をあらはす 六四—六六
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
陳の玄機を
訪
(
と
)
うことが
頻
(
しきり
)
なので、客は多く
卻
(
しりぞ
)
けられるようになった。書を
索
(
もと
)
めるものは、ただ金を贈って書を得るだけで、満足しなくてはならぬことになったのである。
魚玄機
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「橋本閣下は失敬です。無実の罪を着せて、僕を
卻
(
しりぞ
)
ける積りです」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
と
一言
(
いちごん
)
のもとに
卻
(
しりぞ
)
けたんです。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
紫玉が祝儀を
卻
(
しりぞ
)
けたのは曲が茶弘にあったのである。紫玉は堅くこの説を持して動かなかった。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
と光子夫人は
卻
(
しりぞ
)
けた。
冠婚葬祭博士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
しかしもしそうなら、初に
聘
(
へい
)
を
卻
(
しりぞ
)
けたはずである。李は玄機に嫌われているとも思うことが出来ない。玄機は泣く時に、
一旦
(
いったん
)
避けた身を李に
靠
(
もた
)
せ掛けてさも苦痛に堪えぬらしく泣くのである。
魚玄機
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
卻
漢検1級
部首:⼙
9画
“卻”を含む語句
卻含
卻回
売卻
御卻
瞎卻
閑卻