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退
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ど
ふりがな文庫
“
退
(
ど
)” の例文
白雪 ええ、
煩
(
うるさ
)
いな、お前たち。義理も仁義も心得て、
長生
(
ながいき
)
したくば勝手におし。……
生命
(
いのち
)
のために恋は棄てない。お
退
(
ど
)
き、お退き。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼は激しい恐怖と戦慄を増したような風情で「どうか
退
(
ど
)
いてくれ!」と言うらしい
仕科
(
しぐさ
)
をして見せた。そうして、さらに話しつづけた。
世界怪談名作集:06 信号手
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
「なんだとえ、懐から十手なんか覗かせて、——名乗るほどの者じゃねえ——が聞いて呆れらア。さア、
退
(
ど
)
いておくれ、邪魔だよ」
銭形平次捕物控:026 綾吉殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
うつむき加減に、杖をついた道者笠は、月に咲いた
毒茸
(
どくだけ
)
のごとく、ジイと根を
生
(
は
)
やしたまま、
退
(
ど
)
こうともせず、驚いた様子も見せない。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たってお前が
其処
(
そこ
)
を
退
(
ど
)
かないというのなら、それも仕方はないがネ、そんな意地悪にしなくても好いだろう、根が遊びだからネ。
蘆声
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
「
退
(
ど
)
きやあがれ、この忌々しいきちがひどもめ!」と、村長は体を振りほどきざま、若者たちに足蹴を喰らはせながら怒鳴つた。
ディカーニカ近郷夜話 前篇:05 五月の夜(または水死女)
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
といって、
退
(
ど
)
いて下さいとも言えず、ぜひなくお松はまた舞い戻って、ではともかく、一旦は宿へ引取ってからと思いました。
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
、とっちめてやろうとこう思っているのさ。……お
退
(
ど
)
き! 宗さんが、あそこで
虐
(
いじ
)
められているんだから! 早速行って助けなければならない
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「さあ、飛ぶぞ。
退
(
ど
)
かなけりゃあ片足をすりの頭の上に、片足を三ぴんの頭の上に、乗っけて立つように飛んで見せるぞ」
怪異暗闇祭
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
「馬鹿めがっ。わしが新兵衛のことなぞ知るものか! あやつが刀なぞ引き抜いて、あばれに来たゆえ、くくられたのじゃ!
退
(
ど
)
けっ。退けっ」
山県有朋の靴
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
悶
(
もだ
)
えたさの余りに、せっかく親切に床の
傍
(
わき
)
に
坐
(
すわ
)
っていてくれた妻に、暑苦しくていけないから、もう少しそっちへ
退
(
ど
)
いてくれと
邪慳
(
じゃけん
)
に命令した。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「何を、ふざけたことを
吐
(
ぬ
)
かしゃアがる、
惚
(
ほ
)
れたの
腫
(
は
)
れたのと、そ、そんな——聞きたくもねえや。やい、どけッ!
退
(
ど
)
かなきゃ
蹴殺
(
けころ
)
すぞッ!」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「ほんとにまあ、駄目だつてば、駄目だよ! お前はどうかしてゐるんだよ。でなきやこんなに
喚
(
わめ
)
き立てるつて法はないよ。さあ、
退
(
ど
)
けつてば!」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「蹴つたんぢやない。お前が長火鉢の前に頑張つてゐたから、
退
(
ど
)
けと言つて膝で押しただけだといふぢやないか。」
チビの魂
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
「さあ、
退
(
ど
)
いた、退いた」と、源は肩と肩との
擦合
(
すれあ
)
う中へ割込んで、
漸
(
やっと
)
のことで
溜
(
たまり
)
へ参りますと、馬は
悦
(
うれ
)
しそうに
嘶
(
いなな
)
いて、大な首を源の
身
(
からだ
)
へ擦付けました。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
市甚彦 (三人は口々に「邪魔だ
退
(
ど
)
け」「退けったら退け」「退かねえか野郎」と騒々しく
俄鳴
(
がな
)
り立てている)
一本刀土俵入 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
拍手
(
かしわで
)
を打つてをがんで、
退
(
ど
)
いてもらつてから、水へおりるんだつて。そんな氣味の惡い顏、見ててくれる?
夏の夜
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
商会の後ろにはこのために往来止めを喰った数十台の高級自動車が、口頭と警笛をもって、「
退
(
ど
)
け、退け」としきりに催促する。道路工夫はわめく、監督は
地団太
(
じだんだ
)
を踏む。
ノンシャラン道中記:02 合乗り乳母車 ――仏蘭西縦断の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
前の人が
退
(
ど
)
いて、嬢の眼に入ったものは! そこに仰向けに投げ出している青白い手……青白い
額
(
ひたい
)
……今の恐ろしい形相を
泛
(
うか
)
べたまま、伯爵の息は絶えているのであった。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「それは言うまい。どこへ行こうとわたしの勝手じゃ。さあ、邪魔せずにそこを
退
(
ど
)
きゃれ。」
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「オイ、オトッツァン。済まないが
退
(
ど
)
いてくんないか。こちらの話の邪魔になるから」
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
「先生、邪魔になるからそこを
退
(
ど
)
きな、川上が修身をやんだからさ、早く退きな」
白い壁
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
巡査にでも見付かったが最後「
退
(
ど
)
け!」といわれることも、のみこんでいました。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
代つてAがやることになり「
退
(
ど
)
けそこを」と一喝して、「何やお前の喋りやうは」とさん/″\小言を云つたのち、「エー、さて」と口を切る。すると、こいつの口上が余計わからない。
初代桂春団治研究
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
市街を離れた川沿いの一つ家はけし飛ぶ程揺れ動いて、窓
硝子
(
ガラス
)
に吹きつけられた粉雪は、さらぬだに綿雲に閉じられた陽の光を二重に
遮
(
さえぎ
)
って、夜の暗さがいつまでも部屋から
退
(
ど
)
かなかった。
小さき者へ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
とうに
退
(
ど
)
こうと思うていた大坂——そなたを知って、訓育が面白さに、ついうかうかと月日を送ったものの、そなたに入要なだけの学問は授けるし、もうこれで役が済んだとあれからまた
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「放して下さい、
退
(
ど
)
いて下さい。」と彼女は夢遊病者のような声で云った。
或る男の手記
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「怖いか?……さア鍵を廻せ……もう一度……それでいい……
退
(
ど
)
いてくれ」
犬舎
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「お母さんは達者だ。よくは知らねえ。まあ放せよ。
退
(
ど
)
いてくれったら。」
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
多くの人々はぶつぶつ言いながら身を避けた。腰掛の端にすわっていた一人の老人は、そう早く
退
(
ど
)
くことができなかった。彼は兵士らから腰掛をもち上げられて、
哄笑
(
こうしょう
)
のうちに引っくり返った。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「
退
(
ど
)
け! 何を見ていやがるんだ」と、怒鳴りつけたばかりでなく、荒々しくその青年を突き退けました。むろんこの青年は、この男が自分の持たぬある権力を持った刑事であることを知りません。
若杉裁判長
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
コノール
聖僧
(
どるいど
)
よ、
退
(
ど
)
いておれ。わしはお前の智慧にもきき倦きた。
ウスナの家
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
側に女さア附いているだて撃つことが出来ねえだ、己ア
大
(
でけ
)
え声で、
女郎
(
めろう
)
退
(
ど
)
けやアと
喚
(
がな
)
っても退かねえでな、手を合せて助けてくれちッて泣くでえ、女郎退かねえば
撃
(
ぶ
)
っ殺すぞと云っても逃げねえだ
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「騙したな? よくも此奴!
退
(
ど
)
け! 退きゃがれったら!」
牡丹
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「おッと
退
(
ど
)
いた
退
(
ど
)
いた。
番太郎
(
ばんたろう
)
なんぞの
見
(
み
)
るもンじゃねえ」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「さあ、
退
(
ど
)
いた/\。
成
(
な
)
り
立
(
たて
)
の法学士様のお通りだぞ。」
酒
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「
退
(
ど
)
いてください、失礼なことをすると承知しませんよ」
警察署長
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「
退
(
ど
)
いとくれやっしゃ。衝突しまっせ。
危
(
あぶ
)
のおまっせ。」
わが町
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
「やあ
退
(
ど
)
いた退いた、邪魔だ邪魔だ」
初午試合討ち
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
退
(
ど
)
け。退かないと
射殺
(
うちころ
)
すぞ。」
アグニの神
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
爺
(
とつ
)
さん
退
(
ど
)
かつせい、放さつせい
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
そら
退
(
ど
)
け、
退
(
ど
)
け、
退
(
ど
)
け
とんぼの眼玉
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「オイ、
退
(
ど
)
いた
退
(
ど
)
いた」
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「蒲団を、
退
(
ど
)
けんか?」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
「お
退
(
ど
)
きなさいよ」
好人物
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
(お
退
(
ど
)
きと云うに。——やあ、お道さんの
御
(
おん
)
母君、
御
(
ご
)
母堂、お
記念
(
かたみ
)
の肉身と、衣類に対して失礼します、御許し下さい……御免。)
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「虫けらとは、聞き捨てならん。汝こそ、常日頃の友達がいも知らぬ犬畜生。いてくれといっても、もういてやるものか。そこを
退
(
ど
)
け」
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「さあ、
退
(
ど
)
いてお呉れ! とつとと
退
(
ど
)
いてお呉れ! これあ、あつしらの豚だよ!」と、
織匠
(
はたや
)
は前へ飛び出しながら叫んだ。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:02 降誕祭の前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
その眼の前へ、歎きの母親を少し
退
(
ど
)
かせました。朝陽に照らされた無残な死骸は
蔽
(
おお
)
うところなく、大きく開いた吉五郎の眼に焼き付けられます。
銭形平次捕物控:086 縁結び
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「さあ、
退
(
ど
)
いていろ、もう一遍やって見せるからな。危ねえ、子供は遠くへいってろ、
怪我
(
けが
)
あするとよくねえからな。さあ、これから宙乗りをはじめる」
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
退
常用漢字
小6
部首:⾡
9画
“退”を含む語句
後退
引退
退出
退去
立退
退引
飛退
退屈
退却
遠退
退校
退避
退治
進退
辞退
退潮
退院
退歩
追退
居退
...