トップ
>
退
>
しさ
ふりがな文庫
“
退
(
しさ
)” の例文
金眸は痛さに身を
悶
(
もが
)
きつつ、鷲郎が横腹を
引𤔩
(
ひきつか
)
めば、「
呀嗟
(
あなや
)
」と叫んで身を翻へし、少し
退
(
しさ
)
つて洞口の
方
(
かた
)
へ、行くを続いて
追
(
おっ
)
かくれば。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
やがて
退
(
しさ
)
りて、
手
(
て
)
を
支
(
つか
)
へ、は、は、
申上
(
まをしあ
)
げ
奉
(
たてまつ
)
る。
應
(
おう
)
、
何
(
なん
)
とぢや、とお
待兼
(
まちか
)
ね。
名道人
(
めいだうじん
)
謹
(
つゝし
)
んで、
微妙
(
いみじ
)
うもおはしまし
候
(
さふらふ
)
ものかな。
妙齢
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
吃驚
(
びつくり
)
した鴉は一
足
(
あし
)
二
足
(
あし
)
後方
(
うしろ
)
に
飛
(
と
)
び
退
(
しさ
)
つて、じつと蛇の頭を見てゐたが、急に厭世的な顔をしたと思ふと、その
儘
(
まゝ
)
引
(
ひつ
)
くりかへつて死んで
了
(
しま
)
つた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
しかし、彼の力は足らず、
集会室
(
ホール
)
の明かり窓によろめき
退
(
しさ
)
って来て、そこに彼はあえぎ疲れて
倚
(
よ
)
りかかってしまった。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
「——朝のおつとめのお
邪
(
さまた
)
げをいたしました。お
暇
(
いとま
)
申しまする」綽空は、そっと、縁のほうへ身を
退
(
しさ
)
らせていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
と云ったとたん、陶器師は立ち上がった、立った時にはもうその手に
皓々
(
こうこう
)
たる白刃が握られていた。忽然起こる不思議な笑い! はっと飛び
退
(
しさ
)
った庄三郎。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ムク犬は後ろへ
退
(
しさ
)
ってその槍の
鉾先
(
ほこさき
)
を避けました。勢い込んだ神尾主膳は、
逃
(
のが
)
さじとそれを突っかけます。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
月が替ってから
大
(
えら
)
く寒くなりやした、なにねえ元村まで小麦い積んで往った
帰
(
けえ
)
り、庚申塚まで来ると馬が
退
(
しさ
)
って
動
(
いご
)
かねえで困っている所へ、圓次どんが通り掛け
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
毛無山脈は、御山の
裾曲
(
すそわ
)
に
盤石座
(
ばんじゃくざ
)
を構え、富士の河谷は寒煙を燻じ、山南に
退
(
しさ
)
って愛鷹、箱根が、うやうやしく膝まずけば、山陰に侍して秩父連山は、銀の屏障を立て廻す。
ある偃松の独白
(新字新仮名)
/
中村清太郎
(著)
退
(
しさ
)
り人違ひにも候べし此長庵に於て御
召捕
(
めしとり
)
に
相成
(
あひなる
)
覺
(
おぼ
)
え更になしと
大膽
(
だいたん
)
にも
言拔
(
いひぬけ
)
んとするを
捕方
(
とりかた
)
の人々聲をかけ覺えの
有無
(
うむ
)
は云ふに及ばず
尋常
(
じんじやう
)
に
繩
(
なは
)
に掛れと大勢
折重
(
をりかさ
)
なりて取押へ遂に繩を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
外
(
ほか
)
に
寄
(
よ
)
る
邊
(
べ
)
のなき
身
(
み
)
なるを、
妹
(
いもと
)
とも
娘
(
むすめ
)
とも
斷念
(
あきら
)
めて、
教
(
おし
)
へ
立
(
たて
)
られなば
嬉
(
うれ
)
しきぞと、
松野
(
まつの
)
が
膝
(
ひざ
)
ゆり
動
(
うご
)
かして
涙
(
なみだ
)
ぐめば、
雪三
(
せつざう
)
身
(
み
)
を
退
(
しさ
)
りて
頭
(
かしら
)
を
下
(
さ
)
げつゝ、
分
(
ぶん
)
にあまりし
仰
(
おほ
)
せお
答
(
こた
)
への
言葉
(
ことば
)
もなし
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
その言葉の終らぬうちに和尚の血相忽然として一変し、一間ばかり飛び
退
(
しさ
)
りて、
懐中
(
ふところ
)
に手を入れしと見る間に、金象眼したる
種子島
(
たねがしま
)
の
懐中
(
ふところ
)
鉄砲を取出し、わが胸のあたりに狙ひを付くる。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
彼の眼の前二三尺の所に
堆
(
うずだか
)
い
襞
(
ひだ
)
を盛り上げて重々しくひろがっていた
裲襠
(
うちかけ
)
の
裾
(
すそ
)
が、厚い地質の擦れ合うごわ/\した音を立てたのは、夫人が驚きを制しながら心持身を
退
(
しさ
)
ったのであった。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そばに来ていた案内人は玉目の声に一足とび
退
(
しさ
)
った。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
物馴れた髪結は、帯の形を
退
(
しさ
)
って眺めていた。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そして後ろへ
退
(
しさ
)
りながら
三人の相馬大作
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
蒸焼
(
むしやけ
)
のあたり一面、めらめらとこう
掌
(
てのひら
)
をあけたように炎になったから、わッというと、うしろ飛びに
退
(
しさ
)
っちまったそうですよ。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
聞くやいな、男ははるかに飛び
退
(
しさ
)
って、まえの
気色
(
けしき
)
もどこへやら平伏したまま、しばしは
面
(
おもて
)
も上げえない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
止まった刀を手許へ引き、一間あまり飛び
退
(
しさ
)
ると、長庵は刀を
背後
(
うしろ
)
へ廻した。及び腰をして覗き込む。
村井長庵記名の傘
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
高部が飛び
退
(
しさ
)
ってその傷を手で押えた時に、はじめて血が
迸
(
ほとばし
)
ったものですから、その瞬間に見た傷口は、なんのことはない、口が左へ耳の上まで裂けあがったのと同じことです。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
主殿頭はそれを見ると、一度に二
間
(
けん
)
ほど後に
飛
(
と
)
び
退
(
しさ
)
つた。そして刀に手をかけて
屹
(
きつ
)
となつた。刀は備前の
正真物
(
しやうほんもの
)
だつたが、刀鍛冶は蝦蟇を斬るために
態々
(
わざ/\
)
拵
(
こしら
)
へたわけでもなかつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
始め與力同心
打驚
(
うちおどろ
)
き是は
慮外
(
りよぐわい
)
なり御出馬
先
(
さき
)
殊に
轡
(
くつわ
)
へ取り付とは
抑
(
そも
)
氣違
(
きちがひ
)
か
亂心
(
らんしん
)
か女め
其處
(
そこ
)
を
放
(
はな
)
しをれ不禮に及ばは切り捨るぞ大膽不敵も程こそあれ
退
(
しさ
)
れ/\と大音に
叱
(
しか
)
りながらに
縋
(
すが
)
る手を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
と云いさま、呼ばれた武士は静かに振り向いて、二三尺あとへ
退
(
しさ
)
って立った。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
どういう事か
宅
(
うち
)
の青が庚申塚
辺
(
あたり
)
まで来ると
後
(
あと
)
へ
退
(
しさ
)
って、
些
(
ちっ
)
とも
動
(
いご
)
かねえで困っている所へ圓次が通り掛り、圓次が引くと青が歩くから、圓次の荷を
私
(
わし
)
が担いで、荷は今圓次の
家
(
うち
)
へ届けて帰って来ると
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
トはっとした
体
(
てい
)
で、よろよろと
退
(
しさ
)
ったが、腰も据らず、ひょろついて来て
縋
(
すが
)
るように寄ったと思うと、松崎は、不意にギクと手首を持たれた。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と云いながら、甚太郎は
背後
(
うしろ
)
へ飛び
退
(
しさ
)
ったが、黐棹をピタリと構えたものである。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
五人は思わず膝を
退
(
しさ
)
らせ、
狡猾
(
こうかつ
)
な眼色を慾に燃え立たせる。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
宇津木兵馬はつと飛び
退
(
しさ
)
って、また中段に構え直しました。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
耀
(
かがよ
)
ひわたる
清
(
けう
)
らさに、
戀
(
こひ
)
は
退
(
しさ
)
りて
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
飛ぶと、宙を
翔
(
かけ
)
る威力には、とび
退
(
しさ
)
る虫が
嘴
(
くちばし
)
に消えた。雪の
蓑毛
(
みのけ
)
を
爽
(
さわやか
)
に、もとの
流
(
ながれ
)
の上に帰ったのは、あと口に水を含んだのであろうも知れない。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
太刀を引くと飛び
退
(
しさ
)
り、伊集院ゲラゲラ笑い出した。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
と感じて飛び
退
(
しさ
)
っていた。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただの世辞ではなかったが、おもいがけないお京の返事が胸を
衝
(
つ
)
いたから、ちょっと呆れて、ちょっと
退
(
しさ
)
って
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
坊主之助は身を
翻
(
ひるが
)
えし、百歩の
彼方
(
あなた
)
に飛び
退
(
しさ
)
った。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「オオ」飛び
退
(
しさ
)
って
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
稍
(
やや
)
あつて、
大跨
(
おおまた
)
の足あとは、
衝
(
つ
)
と
逆
(
ぎゃく
)
に
退
(
しさ
)
つたが、すツくと
立向
(
たちむか
)
つた様子があつて、切つて放したやうに
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「や」と、弾正は飛び
退
(
しさ
)
った。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
水淺葱
(
みづあさぎ
)
に
白
(
しろ
)
を
重
(
かさ
)
ねた
涼
(
すゞ
)
しい
涼傘
(
ひがさ
)
をさしたのが、すら/\と
捌
(
さば
)
く
褄
(
つま
)
を、
縫留
(
ぬひと
)
められたやうに、ハタと
立留
(
たちど
)
まつたと
思
(
おも
)
ふと、うしろへ、よろ/\と
退
(
しさ
)
りながら、
翳
(
かざ
)
した
涼傘
(
ひがさ
)
の
裡
(
うち
)
で
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
一県二三ヶ国を代表して大博覧会へ出品をしようという、
俺
(
おれ
)
の作に向って、
汝
(
われ
)
の銘を入れる法があるか。
退
(
しさ
)
れ、推参な、無礼千万。これ、悪く取れば仕事を盗む、
盗賊
(
どろぼう
)
も同然だぞ。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
袖
(
そで
)
で
雪洞
(
ぼんぼり
)
の
灯
(
ひ
)
をぴつたり
伏
(
ふ
)
せたが、フツと
消
(
き
)
えるや、よろ/\として、
崩折
(
くづを
)
れる
状
(
さま
)
に、
縁側
(
えんがは
)
へ、
退
(
しさ
)
りかゝるのを、
空
(
そら
)
なぐれに
煽
(
あふ
)
つた
簾
(
すだれ
)
が、ばたりと
音
(
おと
)
して、
卷込
(
まきこ
)
むが
如
(
ごと
)
く
姿
(
すがた
)
を
掻消
(
かきけ
)
す。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「——こっちを襲って来るのではない。そこは自然の配剤だね。人が進めば、ひょいと五六尺
退
(
しさ
)
って、そこで、また、おいでおいでをしているんだ。碧緑赤黄の色で誘うのか知らん。」
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
退
(
しさ
)
った、今のその……たのもしい老人の声の力に
圧
(
お
)
されたのである。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
清葉は、向うから突戻されてよろよろと、
退
(
しさ
)
ると、
喞筒
(
ポンプ
)
の
護謨管
(
ごむかん
)
に
裳
(
もすそ
)
を取られてばったり膝を、その消えそうな雪の
頸
(
うなじ
)
へ、火の粉がばらばらとかかるので、一人が水びたしの
半纏
(
はんてん
)
を脱いで掛けた。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
止せ、と
退
(
しさ
)
る、
遣着
(
やッつ
)
けろ、と出る、ざまあ見ろ、と笑うやら、痛え、といって
身悶
(
みもだ
)
えするやら、一斉に皆うようよ。有触れた銀流し、汚い
親仁
(
おやじ
)
なら何事もあるまい、いずれ器量が操る
木偶
(
でく
)
であろう。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一座
退
(
しさ
)
って、女二人も、慎み深く、手をつかえて、ぬかずいた。
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「えッ。」といって何物か身を開いて
退
(
しさ
)
って神月の姿を
透
(
すか
)
し
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、
慌
(
あわただ
)
しく身を
退
(
しさ
)
ると、
呆
(
あき
)
れ顔してハッと手を拡げて立った。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、
慌
(
あわただ
)
しく身を
退
(
しさ
)
ると、
呆
(
あき
)
れ顔してハツと手を拡げて立つた。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
極りも悪し、
摺
(
ず
)
り
状
(
ざま
)
に
退
(
しさ
)
った。心は苛立つ、胸は騒ぐ。……
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
汚
(
けが
)
れものが、
退
(
しさ
)
りおれ。——塩を持て、塩を持てい。」
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
退
常用漢字
小6
部首:⾡
9画
“退”を含む語句
後退
引退
退出
退去
立退
退引
飛退
退屈
退却
遠退
退校
退避
退治
進退
辞退
退潮
退院
退歩
追退
居退
...