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縫留
水淺葱に
白を
重ねた
涼しい
涼傘をさしたのが、すら/\と
捌く
褄を、
縫留められたやうに、ハタと
立留まつたと
思ふと、うしろへ、よろ/\と
退りながら、
翳した
涼傘の
裡で
雲が
衝と
離れると、
月の
影が、
對うの
窓際の
煤けた
戸袋を
一間、
美人の
袖を
其處に
縫留めた
蜘蛛の
巣に、
露を
貫いたが
見ゆるまで、
颯と
薄紙の
靄を
透して、
明かに
照らし
出す、と
見る
間に、
曇つて