退たい)” の例文
とおもふはなどいふ調子ちようしは、いかにもくらしかねてゐる退たいくつなひとのあくびでもしたいような氣持きもちがてゐるとおもひます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
浜野知三郎さんのことに拠るに、「北条子譲墓碣銘」は山陽の作つた最後の金石文であらうと云ふことである。霞亭の家は養子退たいが襲いだ。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
河を渡り地をえらみ、士馬を休息せしめ、げきて動くべきなりと。燕王曰く、兵の事はしんありて退たい無し。勝形成りて而してまた北に渡らば、将士解体せざらんや、公等の見る所は、拘攣こうれんするのみと。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
退たい堕地獄だじごく
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平伏へいふくなし御尋ねの如く其節損じ候御道具おだうぐ代金だいきんと致し差出せし事相違御座なく候と申けるに大岡殿附添の留守居へ向はれ然らば今日はまづ退たい出致すべし追て呼出す間吟味中屹度きつとつゝしませ置べしと申渡され夫より又此段京都所司代松平丹波守殿へ急使はやうちにて申送られければ松平殿是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
けれどもこの作者さくしや中心ちゆうしんとしてんでゐるのは、そんなところでなく、何事なにごともないごく退たいくつな生活せいかつをしてゐるひとが、けふもまたれて、ひぐらしいてゐるとかうおもつてゐて
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)