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引離
「まア、この
罰当りが!」と
魔女が
急に
高い
声を
立てた。「
何だって?
私はお
前を
世間から
引離して
置いたつもりだったのに、お
前は
私を
瞞したんだね!」
いつしか
恭助ぬしが
耳に
入れば、
安からぬ
事に
胸さわがれぬ、
家つきならずは
施すべき
道もあれども、
浮世の
聞え、これを
別居と
引離つこと、
如何にもしのびぬ
思ひあり
蟇と
目を
交換へたとは
事實か? ならば
何故聲までも
交換へなんだぞ? あの
聲があればこそ、
抱きあうた
腕と
腕を
引離し、
朝彦覺す
歌聲で、
可愛しいお
前を
追立てをる。