“引擦”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ひきず70.0%
ひっこす30.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その時の自分を今の眼の前に引擦ひきずり出して、根掘り葉掘り研究する余裕がなければ、たといこれほどにだってとうてい書けるものじゃない。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
併し其辺には彼の意に適った思わしい隠場所も無かったので、命令いいつけかない二本の脚を、無理に引擦ひきずってた歩き出した。
人間製造 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
女中か、私はね、雪でひとりでに涙が出ると、っと何だか赤いじゃないか。引擦ひっこすってみるとお前、つい先へ提灯ちょうちんが一つ行くんだ。
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
市郎はいて又燐寸を擦ったが、胸の動悸に手はふるえて、幾たびか擦損すりそんじた。彼はいよいれて、一度に五六本の燐寸を掴んで力任せに引擦ひっこすると、火はようやく点いた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)