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引擦
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ひっこす
ふりがな文庫
“
引擦
(
ひっこす
)” の例文
女中か、私はね、雪でひとりでに涙が出ると、
茫
(
ぼ
)
っと何だか赤いじゃないか。
引擦
(
ひっこす
)
ってみるとお前、つい先へ
提灯
(
ちょうちん
)
が一つ行くんだ。
第二菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
市郎は
急
(
せ
)
いて又燐寸を擦ったが、胸の動悸に手は
顫
(
ふる
)
えて、幾たびか
擦損
(
すりそん
)
じた。彼は
愈
(
いよい
)
よ
悶
(
じ
)
れて、一度に五六本の燐寸を掴んで力任せに
引擦
(
ひっこす
)
ると、火は
漸
(
ようや
)
く点いた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
爺さんは、
先刻
(
さっき
)
打撲
(
くらわ
)
された時
怪飛
(
けしと
)
んだ、泥も払わない
手拭
(
てぬぐい
)
で、目を
拭
(
ふ
)
くと、はッと染みるので、驚いて
慌
(
あわただ
)
しいまで
引擦
(
ひっこす
)
って
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と思込んだ顔を
擡
(
もた
)
げた、主税は
瞼
(
まぶた
)
を
引擦
(
ひっこす
)
って、元気づいたような……調子ばかりで、一向取留の無い様子、しどろになって
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
原稿を十四五枚、
言託
(
ことづ
)
けただけで帰ろうと思うのを、「どうぞ、」と黙って入ってしまった。
埃
(
ほこり
)
だらけの足を、下駄へ
引擦
(
ひっこす
)
ったなり、中二階のような夏座敷へ。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
と分らぬながら身につまされて、爺さんはがっくりと
蹲
(
しゃが
)
んで
俯向
(
うつむ
)
き、もう一度目を
引擦
(
ひっこす
)
って
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それを
掻払
(
かいはら
)
うごとく、目の上を両手で
無慚
(
むざん
)
に
引擦
(
ひっこす
)
ると、ものの香はぱっと枕に
遁
(
に
)
げて、縁側の障子の隅へ、音も無く潜んだらしかったが、また……有りもしない風を伝って、
引返
(
ひっかえ
)
して
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と庖丁の
尖
(
さき
)
を危く
辷
(
すべ
)
らして、鼻の下を
引擦
(
ひっこす
)
って
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と手の甲で
引擦
(
ひっこす
)
る。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
引
常用漢字
小2
部首:⼸
4画
擦
常用漢字
中学
部首:⼿
17画
“引”で始まる語句
引
引込
引摺
引返
引張
引掛
引籠
引立
引緊
引出