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悶
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もが
ふりがな文庫
“
悶
(
もが
)” の例文
金眸は痛さに身を
悶
(
もが
)
きつつ、鷲郎が横腹を
引𤔩
(
ひきつか
)
めば、「
呀嗟
(
あなや
)
」と叫んで身を翻へし、少し
退
(
しさ
)
つて洞口の
方
(
かた
)
へ、行くを続いて
追
(
おっ
)
かくれば。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
その
脣
(
くちびる
)
の上にいつ放すとも知れず自分の脣を押しつけたが、千代子は呼吸をはずませながら、
悶
(
もが
)
きもせずにじっとしていた。
心づくし
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
見よ、デモクラシーは
宿昔
(
しゆくせき
)
の長夢を攪破せんとのみ
悶
(
もが
)
き、アリストクラシーは急潮の進前を妨歇せんとのみ
噪
(
さわ
)
ぐにあらずや。
国民と思想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
細川は軽く
点頭
(
うなず
)
き、二人は分れた。いろいろと考え、
種々
(
いろいろ
)
に
悶
(
もが
)
いてみたが校長は遂にその夜富岡を
訪問
(
とう
)
ことが出来なかった。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
しかるにこれを訴人して、後にざまあ見ろをくらって、のり
血
(
べに
)
になって
悶
(
もが
)
くのは、芝居でも名題の買って出ぬ
役廻
(
やくまわり
)
であろう。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
今權六が
屈
(
かゞ
)
んで見て居りますと、犬がグック/\と苦しみ、ウーンワン/\と
忌
(
いや
)
な声で
吠
(
ほ
)
える、暫く
悶
(
もが
)
いて居りましたが
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
遠く舟を離れて対岸をめがけて進むものもあった。彼も身を逆さまにして舟から水底の方へ
躍
(
おど
)
り入った。あたかも身を
悶
(
もが
)
かずにはいられないように。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
角太郎はそれから二日二晩苦しみ通して、二十一日の夜なかに
悶
(
もが
)
き
死
(
じに
)
のむごたらしい終りを遂げた。その
葬式
(
とむらい
)
は二十三日の
午
(
ひる
)
すぎに和泉屋の店を出た。
半七捕物帳:03 勘平の死
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それを手に出来ないで
悶
(
もが
)
いてゐる者は世間に沢山あるので、如何にも尤もと肯れることである。
趣味としての読書
(新字旧仮名)
/
平田禿木
(著)
悶
(
もが
)
いても女の力及ばずと見たのだろう、「じゃア、やるから待ちゃアがれ!」みずから帯の間から古い黄金を取り出し、「ええッ、拾って行きゃアがれ」と、ほうりつけ
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
各
(
おのおの
)
真紅の毒舌を出しながら、
悪徒
(
わるもの
)
の手といい足といい首胴の差別なく巻き付いている、
髪面
(
ひげづら
)
の
悪徒
(
わるもの
)
は苦しそうな顔をして
悶
(
もが
)
き苦しんでいるというような絵を見た事があるが
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
余りに狼狽したジルベールにはルパンの謀計を了解する
由
(
よし
)
もなく、
徒
(
いたずら
)
に亢奮して
悶
(
もが
)
き騒いだ。ボーシュレーは別に何等の抵抗もせず自暴自棄の体
で
(
てい
)
で、ジルベールの態度を
嗤
(
あざわ
)
らって
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
終
(
つい
)
に敢えなくなりたまう、その梨の木は、亭々として今も谿間にあれど、果は皮が厚く、渋くて喰われたものでない、秀綱卿の
怨念
(
おんねん
)
この世に残って、
仇
(
あだ
)
をした
族
(
やから
)
は皆癩病になって
悶
(
もが
)
き
死
(
じに
)
に死んだため
梓川の上流
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
「熱い! ううむ、苦しいわい!」とにわかに
悶
(
もが
)
き苦しみ出した。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
敵は屈みて鋭刃によりつゝ
悶
(
もが
)
く、譬ふれば
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
自分はその日校務を
了
(
おわ
)
ると直ぐ宅に帰り、
一室
(
ひとま
)
に
屈居
(
かがん
)
で、
悶
(
もが
)
き苦しんだ。自首して出ようかとも考がえ、それとも学校の方を辞職して
了
(
しま
)
うかとも考がえた。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
しかし自分たちは
蜘蛛
(
くも
)
の巣にかかった蝶や
蜻蛉
(
とんぼ
)
のように、苦しい、切ない、むごい、やがては命をとられそうな怖ろしいきずなに手足をくくられて
悶
(
もが
)
いている。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
『先生、先生』と口の中で呼んで、どう其を切出したものかと
悶
(
もが
)
いて居ると、何か目に見えない力が
背後
(
うしろ
)
に在つて、妙に自分の無法を押止めるやうな気がした。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
はて何だろうと暗いから、
透
(
すか
)
して見ると、お手飼の
白班
(
しろぶち
)
の犬が
悶
(
もが
)
いて居ります。
怪
(
あや
)
しの侍が
暫
(
しばら
)
く視て
居
(
い
)
る。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
爰に於て彼は実を撃つの手を
息
(
やす
)
めて、空を撃たんと
悶
(
もが
)
きはじめたるなり。彼は池の一側に立ちて、池の一小部分を
睨
(
にら
)
むに甘んぜず、徐々として歩みはじめたり。池の周辺を一めぐりせり。
人生に相渉るとは何の謂ぞ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
その爺さんがね、見ると……その時、角兵衛という風で、頭を動かす……
坐睡
(
いねむ
)
りか、と思うと
悶
(
もが
)
いたんだ。
仰向
(
あおむ
)
けに
反
(
そ
)
って、両手の
握拳
(
にぎりこぶし
)
で、肩を
敲
(
たた
)
こうとするが、ひッつるばかりで手が動かぬ。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
拾った金の穴を埋めんと
悶
(
もが
)
いて又夢に
金銭
(
かね
)
を拾う。自分は
醒
(
さ
)
めた後で、人間の心の浅ましさを
染々
(
しみじみ
)
と感じた。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
貴方がこの
旅舎
(
やどや
)
に居るのと、私が又、あの二階で考え込んでいるのと——それが、座敷牢の内に
悶
(
もが
)
いていた小泉忠寛と、どう違いますかサ……吾儕は何処へ行っても
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
敵は何とも答えずに、力の限り
跳返
(
はねかえ
)
そうと
悶
(
もが
)
いたが、柔道を心得たる忠一は急所を押えて放さぬので、敵は倒れながらに刃物を
打振
(
うちふ
)
って、下から忠一の
喉
(
のど
)
を突こうと企てた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
かく「此の阿魔め、えゝ何を
悶
(
もが
)
くのだ、べらぼうめ、金を渡してしまえ」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
足をばたばたの、手によいよい、
輻
(
やぼね
)
も
蹴
(
け
)
はずしそうに
悶
(
もが
)
きますわの。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さればこそ母からも
附込
(
つけこ
)
まれ、遂に母を盗賊にして了い、遂に自分までが賊になってしまったのである。であるから賊になった上で又もや
悶
(
もが
)
き初めるのは当然である。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
罪の深いもの同志が
如何
(
いか
)
に互の苦悩から救われようとして
悶
(
もが
)
こうと、誰がそんな寝言のようなことを信じよう、そう考えて岸本は部屋の障子の
側
(
わき
)
に
悄然
(
しょうぜん
)
と立ちつくした。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
羽翅締
(
はがいじ
)
めの身を
悶
(
もが
)
きながら、
洋刃
(
ないふ
)
を逆にして
背後
(
うしろ
)
を払うと、
切先
(
きっさき
)
は忠一が右の
臂
(
ひじ
)
を
擦
(
かす
)
った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と
身
(
み
)
を
悶
(
もが
)
くか
水
(
みづ
)
が
揺
(
ゆ
)
れるか、わな/\と
姿
(
すがた
)
が
戦
(
おのゝ
)
く——
天守
(
てんしゆ
)
の
影
(
かげ
)
の
天井
(
てんじやう
)
から
真黒
(
まつくろ
)
な
雫
(
しづく
)
が
落
(
お
)
ちて、
其
(
そ
)
の
手足
(
てあし
)
に
懸
(
かゝ
)
つて、
其
(
そ
)
のまゝ
髪
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
を
伝
(
つた
)
ふやうに、
長
(
なが
)
く
成
(
な
)
つて、
下
(
した
)
へぽた/\と
落
(
お
)
ちて、ずらりと
伸
(
の
)
びて
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
もし富岡先生に
罵
(
のの
)
しられたばかりなら彼は何とかして思切るほうに
悶
(
もが
)
いたであろう、その
煩悶
(
はんもん
)
も苦痛には相違ないが、これ
戦
(
たたかい
)
である、彼の意力は
克
(
よ
)
くこの悩に
堪
(
た
)
えたであろう。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
巡査は谷川の水を
掬
(
すく
)
って飲ませると、彼は
僅
(
わずか
)
に眼を
睜
(
みひら
)
いたが、警官の姿を
視
(
み
)
るや
俄
(
にわか
)
に恐怖と狼狽の色を現わして、
頻
(
しきり
)
に手足を
悶
(
もが
)
いていたが、何分身動きも自由ならぬ重傷である
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
お房は起きたがって母に抱かれながら
悶
(
もが
)
き
暴
(
あば
)
れた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
科学と哲学と宗教とはこれを研究し
闡明
(
せんめい
)
し、そして安心
立命
(
りゅうめい
)
の地をその上に置こうと
悶
(
もが
)
いている、僕も大哲学者になりたい、ダルウィン
跣足
(
はだし
)
というほどの大科学者になりたい。
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
医師に勧められて三度
湯治
(
とうじ
)
に行った。そしてこの間彼の精神の苦痛は身体の病苦と譲らなかったのはすなわち彼自身その不健康なるだけにいよいよ将来の目的を画家たるに決せんと
悶
(
もが
)
いたからである。
小春
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
悶
漢検準1級
部首:⼼
12画
“悶”を含む語句
煩悶
苦悶
悶々
憂悶
身悶
悶着
悶掻
悶死
悶躁
悶著
悶絶
鬱悶
一悶着
欝悶
憤悶
困悶
悶乱
悶転
悶踠
足悶
...