もん)” の例文
渋江氏では、優善がもんを排せんがために酒色の境にのがれたのだろうと思って、手分てわけをして料理屋と妓楼ぎろうとを捜索させた。しかし優善のありかはどうしても知れなかった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
灸所きゅうしょを刺せば、猛獣は叫ぶ。わが非を知れば、人は怒る。武男が母は、これがためにおさえ難き怒りはなおさらにもんを加えて、いよいよ武男の怒るべく、浪子のにくむべきを覚えしなり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
もんすといふ年上の友
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
もんと云う字 女の字
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
そこで冬になる前に、種々の防寒法を工夫して、ぶたの子を取り寄せて飼養しなどした。そのうち冬が来て、江戸で父の病むのを聞いても、帰省することが出来ぬので、抽斎は酒を飲んでもんった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)