“前（すゝ）” の例文
主人の朝井玄龍は、平次と喜三郎を別室に案内すると、折入つての膝を前（すゝ）めるのでした。
銭形平次捕物控：196 三つの死 (旧字旧仮名) ／ 野村胡堂(著)
嶺（みね）あり、天（てん）を遮（さへぎ）り、關（せき）あり、地（ち）を鎖（とざ）し、馬（うま）前（すゝ）まず、——馬（うま）前（すゝ）まず。——孤影（こえい）雪（ゆき）に碎（くだ）けて濛々（もう／＼）たる中（なか）に、唯（と）見（み）れば一簇（いつそう）の雲（くも）の霏々（ひゝ）として薄（うす）く紅（くれなゐ）なるあり。風（かぜ）に漂（たゞよ）うて横（よこ）ざまに吹（ふ）き到（いた）る。日（ひ）は暮（く）れぬ。
花間文字 (旧字旧仮名) ／ 泉鏡花(著)
美男島五六郎は、自分の聲に激發されたやうに、一刀を引寄せてグイと膝を前（すゝ）めます。
銭形平次捕物控：204 美女罪あり (旧字旧仮名) ／ 野村胡堂(著)
八五郎は膝を前（すゝ）めます。平次のひやかしくらゐでは驚く色もありません。
銭形平次捕物控：197 罠に落ちた女 (旧字旧仮名) ／ 野村胡堂(著)
平次は八五郎の叔母から聽いた話を思ひ合せて、膝を前（すゝ）めるのでした。
銭形平次捕物控：272 飛ぶ若衆 (旧字旧仮名) ／ 野村胡堂(著)
女房はそれを見ると、我慢のなり兼ねた樣子で膝を前（すゝ）めるのでした。
銭形平次捕物控：310 闇に飛ぶ箭 (旧字旧仮名) ／ 野村胡堂(著)
錢形平次もツイ膝を前（すゝ）めます。
銭形平次捕物控：194 小便組貞女 (旧字旧仮名) ／ 野村胡堂(著)