もと)” の例文
ただ夢中です、身も世もあられぬ悲嘆かなしさを堪え忍びながら如何いかにもしてもとの通りにたいと、恥も外聞もかまわず、出来るだけのことをしたものです。
恋を恋する人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
もと高雄艦長たかをかんちやういま軍艦ぐんかん」の艦長かんちやう、松島海軍大佐閣下かいぐんたいさかくか部下ぶか信號兵しんがうへいだよ。』と、水兵すいへいひざすゝませ
なだらかにもと来た片原の町はずれへ続く、それをななめに見上げる、山の高き青芒あおすすきわらびの広葉の茂った中へ、ちらりと出た……さあ、いくつぐらいだろう、女の子のあかい帯が
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
下に階梯はしごの降り口がありますから、はて此様こんな処に階梯のある訳はないが、穴蔵の様になって居るが何だか知らん、兎に角こんな所を開けて見ては済まないともとの様に書棚を直して出て来ると