)” の例文
さん、有象無象うぞうむぞうが声を納めて、しんみりとしたろうじゃねえか。戦だね。泣くやら、はははははは、笑うやら、はははは。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『繁ちやん、それアおも一緒にいち行きね。た方がいゝが、……土産物みやげもんどんもろちよつたちつまらん。それア行たほがよつぽづいゝが……』
金比羅参り (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
水流つるさんや、おえもよっぽど用心しねえとあぶねえぞ。丸十の繁から俺は聴いたんだが、お前えは飛んだ依怙贔負えこひいきの仕事を
鬼涙村 (新字新仮名) / 牧野信一(著)
「おんとこへゐるんなら喧嘩しねえが好い。おい清公、お前も生意気をよして権八公と仲よくしねえな。その方が好いぜ。」と分別ふんべつらしい顔で一人の少年は仲裁した。
ある職工の手記 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
めえなんだ生若なまわけえ身で耳抉みゝっくじりを一本差しゃアがって、太神楽だいかぐら見たようなざまをして生意気な事を云うねえおッちゃア青二せいだ、鳥なら雛児ひよっこだ、手前達てめえたちに指図を受けるものか
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「おっちが上がるよりゃア御簾のほうがよっぽどましだ」
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
「さっきな、裏小路の富に会ったら、山帰りに、柳屋先生と仙太さんが一緒に下りてきて話しこはずんでいたとよ。半月も経たねえ内に元の鞘さ納まるして。おがた、なにも知らねえで、蔭口きくのやめでけれであ」
凍雲 (新字新仮名) / 矢田津世子(著)
「うえ、おえだど。——お前えでないか!」
不在地主 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
さん、我慢なるめえじゃねえかね。こう、可い加減にしねえかい。柳橋の蔦吉さんが、情人いろと世帯を持ったうちだ、汝達てめえたちの手に渡すもんか。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「機関兵と水兵とは何処でおえは見分ける。これはお前えには分るまい。」権八は私に云つた。彼は三四年も此の佐世保の土地へ居馴ゐなれてゐるので何かとくはしかつた。
ある職工の手記 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
「あばれたにも何も、一体名代の代物しろものでごぜえしょう、そいつがおさん、盲目めくら滅法界に飛出したんで、はっと思う途端に真俯向まうつむけのめったでさ。」
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
伍長さんだつておえを可愛がつてゐなさるだ。なあ、さうしな。それが好えだ。
ある職工の手記 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
どうしておさんなんざ学者で先生だっていうけれど、からそんな時にゃあ腰を抜かすね。へい。何だって法律で馬にゃあ乗れませんや、どうでげす。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
不残のこらず叩き売った道具のおあしが、ずッしりあるんだ。おさんが、蔦ちゃんに遣れって云うのを、まだ預っているんだから、遠慮はねえ、はははは、」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
串戯じょうだんじゃあがあせん、わっし一期いちごで、ダーだと思ったね、つちん中へ顔をうずめておさん、ずるずると引摺ひきずられたから、ぐらぐらと来て気が遠くなったんで。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)