むこう)” の例文
山のむこうの親戚の家に餅搗があって、其の手伝いに頼まれたので、小供を留守居にして置いて、朝早くから出かけることになった。
白い花赤い茎 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
鵂鶹ふくろうの鳴く声が鴉の声に交ってむこうの方から聞えてきたが、どこで鳴いているのか場所は判らなかった。
太虚司法伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
田圃のさきは低い丘陵おかでありました。二人はその丘陵おかけあがって、生い茂った林の下をくぐってむこうふもとにおりましたが、そこは入江の岸になって、みちの下には水の白い池がありました。
宇賀長者物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
王は眼を開けてむこうの方を見たが何も見えなかった。
蘇生 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
女はきまり悪そうにあわててむこうをむいて歩いた。
荷花公主 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)