まい)” の例文
お道どん、お前のまいだけれどもう思い切ってるんだからね、人のへえらねえ処だし、お前、対手あいてはかよわいや。そこでもってからに
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一月や二月、そぎやんこつしてみたとこツで、いくりやんもなりやせんぢやなツか。そりよりや、おまい、はよう戻つてやつた方がよかばい。
牛山ホテル(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
実はこのまいに吾輩が話した「地球表面上は狂人の一大解放治療場」云々の記事を、君の新聞に書かれたんで、少々弱らされたよ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それがいけないので、わつし子供こども時分じぶんから、人の見てまいでは物ははれない性分しやうぶんですから、何卒どうぞかへつて下さい、お願ひでございますから。
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「太郎やわたしは一生おまいと離れないよ、お前の好きな処へお前をれてお嫁に行くから子、お前の好きな人が来たら妾のたもとくはへて其人のそばへ伴れて行くのだよ、」
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
「おまいは正直な老人だ。神さまのまへで、おれに言つてくれ。一たいだれがあの穴をほつたのか。」
ざんげ (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
「おまいらなんぼ画いたかってモデルわやくちゃにするだけや。モデルの方がずっと綺麗やないか。」
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
いつのとしでしたかわたくしの乗りました車夫くるまや足元あしもとからへた紙鳶たこ糸目いとめ丁寧ていねいに直してりましたから、おまい子持こもちだねと申しましたら総領そうりようなゝつで男の子が二人ふたりあると申しました
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
「又三郎さん。おまいはまだここらに居るのか。」一郎がたずねました。
風野又三郎 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
うもれもさづかものだからと一人ひとりふに、仕方しかたい、十ぶんせん大旦那おほだんながしぼりつた身上しんじようだから、ひとものるとつても理屈りくつるまい、だけれどおまい不正直ふしようぢき此處こゝ旦那だんならうとふに
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「ごん、おまいだったのか。いつも栗をくれたのは」
ごん狐 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
「ではおまいお供をおしな」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
坊主ばうずめうな事をふて、人の見てまいでは物がはれないなんて、全体ぜんたいアノ坊主ばうず大変たいへんけちかねためやつだとふ事を聞いてるが
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
まいがそんつもりでをればよかばツてん、ムツシユウ・シヨオドロンにして見れば、代りのをなごはいくらでんあツとだるけんね。
牛山ホテル(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
「そりゃおまいとうに済んだよ。」と此方こなたも案外な風情、あまり取込とりこみにもの忘れした、旅籠屋はたごやの混雑が、おかしそうに、莞爾にっこりする。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ハハハ。『どうしても会えない人間』なんて確かにおまいの趣味だね。探偵小説、探偵小説……」
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「お客だい、誰も来やしないよ、おまい。」と斜めに肩ごしに見遣みやったまま打棄うっちゃったようにもののすッきり。かえすことばもなく
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
尼「忘れもしない三年跡の七月小金原の観音堂でおまいさんのお母さんをくびり殺し、百二十両と云う金を取ったは此のお熊比丘尼でございますよ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
よね おまいがそぎやん云ふなら、そツでかこてしとこう。こんかげにや果物くだもんと菓子ばちつとばつかり入れといたばい。そるから、もう忘れもんななかろね。
牛山ホテル(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
きまりでおまいとこへお邪魔をすると、不思議な話じゃ。あとさきはよく分らいでも、十九日とばかりで聞く耳が立ったての。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
梅喜ばいきさん/\、こんなところちやアいけないよ、かぜえ引くよ……。梅「はい/\……(こす此方こつちを見る)×「おや……おまいいたぜ。 ...
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
うなすつたんだらうツて本当ほんたうに心配をしてえましたよ、うするとね、おふくろふのには、おまいなに旦那だんな失策しくじつたんぢやアないかてえますから
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
五助さん、おまいの許にもそういうかかりあいがあるのなら、悪いことはわぬ、お題目を唱えて進ぜなせえ。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
成程なるほどそれうも御奇特ごきどくな事で、おまい葬式とむらひを出してれゝば誠に有難ありがたいね、ぢやア何分なにぶんたのまうしますよ、今にわたしきますが、早桶はやをけなにかの手当てあては。
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
いえなん貴僧あなた。おまいさん後程のちほどわたし一所いつしよにおべなさればいゝのに。こまつたひとでございますよ。)とそらさぬ愛想あいさう手早てばや同一おなじやうなぜんこしらえてならべてした。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
分つた/\、えらいよおまいは——暗夜やみよの用心に月の光をすくつて置くと、ざるの目から、ざあ/\ると、びくから、ぽた/\流れると、ついでに愛嬌あいきょうはこぼれると、な。
光籃 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
梅「一生懸命だって、おまいを可愛がって御供物おもりものや何か下さる旦那さまだもの、ほんのお酒の上だよ」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
まいへもうしろへも廻る重宝ちょうほうな屏風で、反古張ほごばり行灯あんどんそば火鉢ひばちを置き、土の五徳ごとくふた後家ごけになってつまみの取れている土瓶どびんをかけ、番茶だか湯だかぐら/\煮立って居りまして
はてさて迷惑めいわくな、こりやまい黄色蛇あおだいしやう旨煮うまにか、腹籠はらごもりさる蒸焼むしやきか、災難さいなんかるうても、赤蛙あかゞへる干物ひもの大口おほぐちにしやぶるであらうと、そツると、片手かたてわんちながら掴出つかみだしたのは老沢庵ひねたくあん
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
竹ヶ崎は此方こっちイずいと往って突当って左へきれて、構わず南西みなみにしへきれて這入ると宮がある、其の宮のまい新浄寺しんじょうじと云う寺がある、其処そこ突切つっきってくと信行寺しんぎょうじと云うお寺様アある
「おまいどこかでまた酒かい。」と客は笑いながら
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まいさんのあにさんあねさんの敵と尋ねる剣術遣の安田一角は、五助街道の藤ヶ谷の明神山に隠れて居るという事は、妙な訳で戸ヶ崎の葮簀張よしずッぱりで聞いたのですが、敵を討ちたければ、其の相撲取を頼み
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「おい、おまいさん。」
光籃 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
尼「誠に思い掛けない、宗觀さんまいさんかえ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)