-
トップ
>
-
塲合
扨是等の石器は
如何にして
造られしやと云ふに、石斧石鏃の
塲合とは事變はりて、
半成品も
見當たらず、細工屑も
見當たらざれば
吾等を
此危難から
救ひ
出す
事は、
大佐の
智惠でも
迚も
及ばぬのであらうと、
私は
深く
心に
决したが、
今の
塲合だから
何も
言はない。
左舷の
當番水夫は
鬼か
蛇か、
知つて
知らぬ
顏の
其心は
分らぬが、
今は
瞬間も
躊躇すべき
塲合でないと
考へたので、
私は
一散に
走つて、
船橋の
下部なる
船長室の
扉を
叩いた。
此時こんな
塲合にはかなき
女心の
引入られて、一
生消えぬかなしき
影を
胸にきざむ
人もあり、
岩木のやうなるお
縫なれば
何と
思ひしかは
知らねども、
涙ほろ/\こぼれて一ト
言もなし。