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ばあい
左舷の
當番水夫は
鬼か
蛇か、
知つて
知らぬ
顏の
其心は
分らぬが、
今は
瞬間も
躊躇すべき
塲合でないと
考へたので、
私は
一散に
走つて、
船橋の
下部なる
船長室の
扉を
叩いた。
此時こんな
塲合にはかなき
女心の
引入られて、一
生消えぬかなしき
影を
胸にきざむ
人もあり、
岩木のやうなるお
縫なれば
何と
思ひしかは
知らねども、
涙ほろ/\こぼれて一ト
言もなし。
斯かる
塲合に於ては
美麗なる石斧石鏃類は幾分か交換の
媒の用を爲せしならん。