躊躇ため)” の例文
進もうとする吾々には周囲への躊躇ためらいがなかった。行く末に少しでも危惧きぐを抱いたなら、勇気はいつか砕かれていたであろう。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
「だから悲劇のみ芸術である」なぞと言はれるのもいささか心外であるために、先づ、何の躊躇ためらう所もなく此の厄介な「芸術」の二文字を語彙の中から抹殺して(アア、清々した!)
FARCE に就て (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
一人がしかめた眼差まなざしで、ウインチを見上げて、「しかしな……」と躊躇ためらっている。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
「ええ……」と、お宮は躊躇ためらうようにしている。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
われは戦慄せんりつ躊躇ためらひしが
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
「だから悲劇のみ芸術である」なぞと言われるのもいささか心外であるために、ず、何の躊躇ためらう所もなく此の厄介な「芸術」の二文字を語彙ごいの中から抹殺して(アア、清々した!)
FARCE に就て (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
もし作りえ、作り直し、迷い躊躇ためらって作るなら、美はいつか生命を失うであろう。あの奔放な味わいや、豊かな雅致は、よどみなきえた心の現れである。そこには活々した自然の勢いが見える。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
移さんとして躊躇ためらひぬ
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)