躊躇ためらう)” の例文
してその歌をきいた。やはり美しの姿は半ば木の葉に隠れて此方こなたを覗く様子は昨日と異ならない。この度ばかりは……と躊躇ためらう間に早や何処いずくへか消えてしまう。
森の妖姫 (新字新仮名) / 小川未明(著)
僕にとって、認識するとは、生身をえぐることであり、血を流すことであった。そして、今、僕の誠実さの切尖が最後の心臓に擬せられたからとて、僕は躊躇ためらうだろうか。
二十歳のエチュード (新字新仮名) / 原口統三(著)