“因(とら)” の例文
どんなに冷淡で厳格な人でも——時にはリストの敵でさえも、ついには彼に因(とら)えられて、その渇仰者(かつごうしゃ)の一人にならずにはいられなかったのである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂、野村あらえびす(著)
しかるに彼らはヨブの哀哭の語に接してその言辞に因(とら)えられてその心裡(しんり)を解する能(あた)わず、ますます彼らの推測の正当なりしを悟り、ここにヨブを責めてその私(ひそ)かなる罪を懺悔せしめ
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
その時ショパンを因(とら)えた不安と恐怖が、傑作「雨滴(あまだ)れの前奏曲」になったのだと言われている。ショパンの幻想を誘った執拗な水滴の音は、住み古した家の天井に漏(も)る雨滴(あまだ)れの音だったのである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂、野村あらえびす(著)