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捕
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とら
ふりがな文庫
“
捕
(
とら
)” の例文
彼
(
かれ
)
は
捕
(
とら
)
へられて
家
(
いへ
)
に
引返
(
ひきかへ
)
されたが、
女主人
(
をんなあるじ
)
は
醫師
(
いしや
)
を
招
(
よ
)
びに
遣
(
や
)
られ、ドクトル、アンドレイ、エヒミチは
來
(
き
)
て
彼
(
かれ
)
を
診察
(
しんさつ
)
したのであつた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
さうして
愛情
(
あいじやう
)
の
結果
(
けつくわ
)
が、
貧
(
ひん
)
のために
打
(
う
)
ち
崩
(
くづ
)
されて、
永
(
なが
)
く
手
(
て
)
の
裡
(
うち
)
に
捕
(
とら
)
へる
事
(
こと
)
の
出來
(
でき
)
なくなつたのを
殘念
(
ざんねん
)
がつた。
御米
(
およね
)
はひたすら
泣
(
な
)
いた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
夜
(
よる
)
になると
方々
(
ほう/″\
)
を
歩
(
ある
)
き
廻
(
まは
)
つて、
筍
(
たけのこ
)
、
松茸
(
まつたけ
)
、
芋
(
いも
)
、
稻
(
いね
)
、
大豆等
(
だいずなど
)
の
農作物
(
のうさくぶつ
)
をあらしたり、
木
(
き
)
の
實
(
み
)
を
食
(
く
)
ひ、
野鼠
(
のねずみ
)
、
兎
(
うさぎ
)
なども
捕
(
とら
)
へて
餌食
(
ゑじき
)
にします。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
一八〇
あはれかの女召して問はせ給へ。助、武士らに向ひて、県の
真女子
(
まなご
)
が家はいづくなるぞ。
一八一
渠
(
かれ
)
を押して
捕
(
とら
)
へ来れといふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
お君さんは田中君の手が、そっと自分の手を
捕
(
とら
)
えたのを感じながら、希望と恐怖とにふるえている、かすかな声でこう云った。
葱
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
跡部は荻野等を呼んで、二
人
(
にん
)
を
捕
(
とら
)
へることを命じた。その
手筈
(
てはず
)
はかうである。奉行所に詰めるものは、
先
(
ま
)
づ刀を
脱
(
だつ
)
して
詰所
(
つめしよ
)
の
刀架
(
かたなかけ
)
に
懸
(
か
)
ける。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
その結果は、
甚
(
はなは
)
だよろしくなかった。彼は、とうとう
無賃乗車
(
むちんじょうしゃ
)
の
怪
(
あや
)
しい乗客として、車掌に
捕
(
とら
)
えられた。それから憲兵の前へ引き出された。
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
とにかく、自分の直接の主人に当る孔悝が
捕
(
とら
)
えられ脅されたと聞いては、黙っている訳に行かない。おっ取り刀で、彼は公宮へ駈け付ける。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
使い古せば味いが一段と
冴
(
さ
)
えます。小品に過ぎませんが、どこからその美しい形を
捕
(
とら
)
えて来るのかと感じ入るほどであります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
今
(
いま
)
かく
空腹
(
くうふく
)
を
感
(
かん
)
じて
居
(
を
)
る
塲合
(
ばあひ
)
に、あの
魚
(
さかな
)
を一
尾
(
び
)
捕
(
とら
)
へたらどんなに
嬉
(
うれ
)
しからうと
考
(
かんが
)
へたが、
網
(
あみ
)
も
釣道具
(
つりどうぐ
)
も
無
(
な
)
き
身
(
み
)
のたゞ
心
(
こゝろ
)
を
焦
(
いらだ
)
つばかりである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
呼
(
よば
)
れ白子屋家内を
檢査
(
あらため
)
清三郎を
捕
(
とら
)
へ來れと下知せられしかば同心
馳行
(
はせゆき
)
て
檢査
(
あらため
)
しに清三郎は
逐電
(
ちくでん
)
せし樣子なれど
道具
(
だうぐ
)
中
(
うち
)
斯樣の品
有
(
あり
)
しと其品々を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
国王は魔法使いを
捕
(
とら
)
えたつもりでいましたし、王子は夢の精を捕えたつもりでいました。そして一同は喜び勇んで城の方へ帰って行きました。
夢の卵
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
その音は二町ばかり西の方の大きな
藁屋根
(
わらやね
)
の中に
捕
(
とら
)
われている穂吉の処まで、ほんのかすかにでしたけれども聞えたのです。
二十六夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
まんいち、時をあやまって、お父上が、
家康
(
いえやす
)
の手にでも
捕
(
とら
)
われたのちには、もうほどこすすべはないぞ、この伊那丸が
生涯
(
しょうがい
)
の大不孝となろうぞ
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
朋友
(
ともだち
)
に
信
(
まこと
)
ある事人も
恥
(
はづ
)
べき事也、しかるを心なき
徒
(
ともがら
)
かの
糞
(
ふん
)
をたづねありき、
代見立
(
しろみたて
)
の
糞
(
ふん
)
あればかならず
種々
(
しゆ/″\
)
の
術
(
じゆつ
)
を
尽
(
つく
)
して雁のくるをまちて
捕
(
とら
)
ふ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
私は彼等二人を
捕
(
とら
)
えたくないのです。……その代り……今後、J・I・Cの団員は二重橋橋下に一歩も立ち入らせますまい
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
大
(
おほ
)
きな
子供
(
こども
)
はそれつといつて
惡戯
(
いたづら
)
に
其
(
それ
)
を
捕
(
とら
)
うとする。
子供等
(
こどもら
)
は
順次
(
じゆんじ
)
に
皆
(
みな
)
それに
傚
(
なら
)
はうとする。さうすると
小
(
ちひ
)
さな
小供
(
こども
)
は
唯
(
たゞ
)
火
(
ひ
)
の
點
(
つ
)
いたやうに
泣
(
な
)
く。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
ロミオ
捕
(
とら
)
はれうと、
死罪
(
しざい
)
にならうと、
恨
(
うらみ
)
はない、
卿
(
そもじ
)
の
望
(
のぞみ
)
とあれば。あの
灰色
(
はひいろ
)
は
朝
(
あさ
)
の
眼
(
め
)
で
無
(
な
)
いとも
言
(
い
)
はう、ありゃ
嫦娥
(
シンシヤ
)
の
額
(
ひたひ
)
から
照返
(
てりかへ
)
す
白光
(
びゃくくわう
)
ぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
彼女は
捕
(
とら
)
れたくはあったが、だれからでも捕れたくはなかった。その小さな頭の中で、結婚の相手をすでにきめていた。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「
掏摸
(
すり
)
だな! 女め! 一大事だ……
下坂
(
しもさか
)
下坂」と声をかけ、もう一人の供の侍の、下坂源次郎の寄って来るのへ、「追え
捕
(
とら
)
えろ! あの娘を!」
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
案
(
あん
)
ずるに
此類
(
このるい
)
の
石噐
(
せきき
)
は或は
釣糸
(
つりいと
)
を埀るる時に錘りとして用ゐられし事も有るべく、或は鳥を
捕
(
とら
)
ふるに
際
(
さい
)
し
束
(
つか
)
ね糸の端に
括
(
くく
)
り付けられし事も有るべく
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
丁度
(
ちょうど
)
夏
(
なつ
)
のことでございましたから、
小供
(
こども
)
は
殆
(
ほと
)
んど
家
(
いえ
)
の
内部
(
なか
)
に
居
(
い
)
るようなことはなく、
海岸
(
かいがん
)
へ
出
(
で
)
て
砂
(
すな
)
いじりをしたり、
小魚
(
こざかな
)
を
捕
(
とら
)
えたりして
遊
(
あそ
)
びに
夢中
(
むちゅう
)
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
と
頻
(
しき
)
りに侍と亭主と刀の値段の
掛引
(
かけひき
)
をいたして居りますと、
背後
(
うしろ
)
の
方
(
かた
)
で通り
掛
(
かゝ
)
りの
酔漢
(
よっぱらい
)
が、此の侍の
中間
(
ちゅうげん
)
を
捕
(
とら
)
えて
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
身に痛みも覚えぬのに、場所もこそあれ、
此処
(
ここ
)
はと思ふと、怪しいものに
捕
(
とら
)
へられた気がして、わつと泣き出した。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
其処
(
そこ
)
で、大きな
鳥打帽
(
ハンチング
)
を
冠
(
かぶ
)
った背広服に仕事着の技師らしい男に
行逢
(
ゆきあ
)
うと、喬介は
早速
(
さっそく
)
その男を
捕
(
とら
)
えて切り出した。
カンカン虫殺人事件
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
「承われば、あなた様は、白髪首をかけても、賊を
捕
(
とら
)
えて見せるとおっしゃいましたそうですね。その御約束は一体どうなったのでございましょうか」
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
が、残念なことには京阪の間を
奔走
(
ほんそう
)
すること三ヵ月、未だ
慶喜
(
よしのぶ
)
公に
見
(
まみ
)
えざるに、藩の有力者の手に
捕
(
とら
)
えられてそのまま国元へ送り返されてしまったのだ。
青年の天下
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
赤間
(
あかま
)
の関で役人に
捕
(
とら
)
えられすでに
危
(
あやう
)
きところをのがれ、
船頭
(
せんどう
)
をだましてようやくこの島に着くことができました。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
それにようやく下宿にもなずみ、学校にもなれて、すべてのうえに安静を得て来た。
捕
(
とら
)
えようと望んでいる物がどうにか、捕え得らるるような気分になった。
廃める
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
別荘
(
べっそう
)
がつづく
高台
(
たかだい
)
をかけ抜けると、町へ下るながい坂になっている。町へにげれば、追ってくる透明人間を、そこで
捕
(
とら
)
えることができると博士は考えていた。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
あの男なら、笛はまずいが腕はたしかだ、化物なんか引っ
捕
(
とら
)
えて
甘酢
(
あまず
)
で食べますよ、ヘッ、ヘッ、ところが、運が良いか悪いか、兵二郎は休んで太之助が行った
銭形平次捕物控:349 笛吹兵二郎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
某は心中
深
(
ふか
)
く
立腹
(
りつぷく
)
して、
他
(
ほか
)
の事にかこつけて雲飛を
中傷
(
ちゆうしやう
)
し
遂
(
つひ
)
に
捕
(
とら
)
へて
獄
(
ごく
)
に
投
(
とう
)
じたそして人を以て
竊
(
ひそか
)
に
雲飛
(
うんぴ
)
の
妻
(
つま
)
に、
實
(
じつ
)
は石が
慾
(
ほし
)
いばかりといふ
内意
(
ないゝ
)
を
傳
(
つた
)
へさした。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
捕
(
とら
)
われて東京に
護送
(
ごそう
)
せられたるこそ運の
拙
(
つたな
)
きものなれども、
成敗
(
せいはい
)
は
兵家
(
へいか
)
の常にして
固
(
もと
)
より
咎
(
とが
)
むべきにあらず、新政府においてもその罪を
悪
(
にく
)
んでその人を悪まず
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
愛
(
あい
)
ちやんが
紅鶴
(
べにづる
)
を
捕
(
とら
)
へて
持
(
も
)
ち
歸
(
かへ
)
つた
時
(
とき
)
には、
已
(
すで
)
に
鬪
(
たゝか
)
ひが
終
(
を
)
へて
居
(
ゐ
)
て、二
疋
(
ひき
)
の
針鼠
(
はりねずみ
)
の
姿
(
すがた
)
は
見
(
み
)
えませんでした
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
その後、男は結局習い覚えた強盗を働いて世を送っている内、
捕
(
とら
)
えられて、この話を白状したのである。
女強盗
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
この際誰れがこれを疑ぐろう? 彼は血に
塗
(
まみ
)
れておる。彼は書記殺しの兇賊二名を
捕
(
とら
)
えたのだ。十数名の人々は彼が兇賊と猛烈な挌闘を演じておる様を目撃した。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
子供
(
こども
)
の
兩足
(
りようあし
)
を
捕
(
とら
)
へて
倒
(
さか
)
さにつるし、
顏
(
かほ
)
を
外
(
そと
)
に
向
(
む
)
けて、
膝
(
ひざ
)
もて
背
(
せなか
)
を
撞
(
つ
)
くと
云
(
い
)
ふのですさうすれば、
曾
(
かつ
)
ての
實驗
(
じつけん
)
に
依
(
よつ
)
て
出
(
で
)
るから、
之
(
これ
)
を
遣
(
や
)
ツて
見
(
み
)
て
呉
(
く
)
れと
熱心
(
ねつしん
)
に
勸
(
すゝ
)
めました
手療法一則:(二月例会席上談話)
(旧字旧仮名)
/
荻野吟子
(著)
これを
捕
(
とら
)
える子供らが「オボー三尺
下
(
さ
)
ンがれよ」という、極めて幽暗な唄を歌ったと記してあった。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
午後、我がせし
狼藉
(
ろうぜき
)
の
行為
(
こうい
)
のため、
憚
(
はばか
)
る筋の人に
捕
(
とら
)
えられてさまざまに
説諭
(
せつゆ
)
を加えられたり。
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
三月下旬だったでしょうか、杉永が訪ねて来て、同志の者が七人、藩吏に
捕
(
とら
)
われた、ということを告げました。田上安之助の組で、会合はいつもどおり極秘におこなわれた。
失蝶記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「君
公庁
(
おおやけ
)
に召され給うと聞きしより、かねて
憐
(
あわれ
)
をかけつる隣の
翁
(
おきな
)
をかたらい、
頓
(
とみ
)
に野らなる
宿
(
やど
)
のさまをこしらえ、我を
捕
(
とら
)
んずときに
鳴神
(
なるかみ
)
響かせしは、まろやが
計較
(
たばか
)
りつるなり」
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
その
主
(
おも
)
なるものは、かれ
等
(
ら
)
が
食物
(
しよくもつ
)
の
材料
(
ざいりよう
)
として
捕
(
とら
)
へた
獸類
(
じゆうるい
)
の
骨
(
ほね
)
や
角
(
つの
)
で
作
(
つく
)
つた
物
(
もの
)
であります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
そして敵兵に
捕
(
とら
)
えられる時に、そっと牧師の
妻
(
さい
)
の髪に
接吻
(
せっぷん
)
したのです。作者はこの興行の時にはコンスタンチノオプルにいたので、そんな事をせられたのを知らずにしまいました。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
場内はこの思いもかけぬ椿事のためにいずれも総立ちとなって、将軍家におかせられては御不興気にすぐさま御退出、
曲者
(
くせもの
)
捕
(
とら
)
えろッ、古高新兵衛を介抱しろッ、どうしたッ、何だッ
旗本退屈男:03 第三話 後の旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
暗
(
やみ
)
の
閾
(
しきい
)
から朧気な夢が浮んで、幸福は風のように
捕
(
とら
)
え難い。そこで
草臥
(
くたびれ
)
た高慢の中にある
騙
(
だま
)
された耳目は
得
(
う
)
べき物を
得
(
う
)
る時無く、己はこの部屋にこの町に辛抱して引き
籠
(
こも
)
っているのだ。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
小
(
ちひ
)
さな
時
(
とき
)
から
父
(
ちゝ
)
の
伴
(
とも
)
をして、
諸國
(
しよこく
)
を
歩
(
ある
)
いて
攝津
(
せつつ
)
の
國
(
くに
)
へ
來
(
き
)
た
時
(
とき
)
に、
酒飮
(
さけの
)
みの
父親
(
ちゝおや
)
は、
月
(
つき
)
を
捕
(
とら
)
へるのだといつて、
歌
(
うた
)
の
友
(
とも
)
だちなどが
止
(
と
)
めるのもきかずに、
池
(
いけ
)
の
中
(
なか
)
へをどり
込
(
こ
)
んで
死
(
し
)
にました。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
「わし等とつさまの若い時分にや
下川
(
したか
)
の向うに鹿が
跳
(
は
)
ねてゐたもんだつて言ひやんす」と年よりは言ふ。十三代將軍が小金原の
卷狩
(
まきがり
)
には、私達の祖父も筑波で
捕
(
とら
)
へた二頭の猪を献上してゐる。
筑波ねのほとり
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
母親は男が
捕
(
とら
)
えられ引き立てられて行くを見て、滝のように血の流るる中より、おのれは
恨
(
うらみ
)
も
抱
(
いだ
)
かずに死ぬるなれば、孫四郎は
宥
(
ゆる
)
したまわれという。これを聞きて心を
動
(
うご
)
かさぬ者はなかりき。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
しかるにたびたび言うとおり僕は
他山
(
たざん
)
の
瓦礫
(
がれき
)
を
捕
(
とら
)
え来たって、自国の
璞玉
(
たま
)
に比してみずから
快
(
かい
)
とするの
愚
(
ぐ
)
なることを信ずるから、常に他山の石を
藉
(
か
)
りて自分の玉を
磨
(
みが
)
くの用に供したいと思う。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
できるだけ言葉に
捕
(
とら
)
えられぬように注意しながら論を進めてゆくことを主張するが、その際いかなる心持ちで事物を見るべきかというに、これには子供の心とは正反対の態度を取ることを要する。
我らの哲学
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
捕
常用漢字
中学
部首:⼿
10画
“捕”を含む語句
捕縛
召捕
引捕
捕手
捕吏
捕虜
逮捕
生捕
捕繩
取捕
捕縄
捕捉
追捕
総追捕使
御召捕
魚捕
分捕
捕方
手捕
鼠捕
...