とら)” の例文
あるひは一一二がつ椎柴しひしばをおほひて雨露をしのぎ、つひとらはれて此の嶋にはぶられしまで、皆義朝よしともかだましき計策たばかりくるしめられしなり。
この唐の僧は最後に、賊にとらえられ、賊の手によって首を斬られたのだった。この世に於てさえ、こんなむごたらしい災害を避けることが出来ない。
宝永噴火 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
企は失敗して、彼らはとらえられ、さばかれ、十二名は政略のために死一等をげんぜられ、重立おもだちたる余の十二名は天の恩寵によって立派に絞台の露と消えた。
謀叛論(草稿) (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
「孔明八きん八縦の備え、それを我らは二つに割り、四擒四縦の備えと名付け、貴殿ら二人をとらえたつもりじゃ」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
天下何事か為すからざらんや、と奮然として瓜を地になげうてば、護衛の軍士皆激怒して、すすんで昺と貴とをとらえ、かねて朝廷に内通せる葛誠かつせい盧振ろしんを殿下に取っておさえたり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
再び城に帰らんとして武田軍にとらえられ、城に向かい、援軍きたらぬと告げよと命ぜられ、送られて城下に至った時、城を仰いで大声に主公しゅこうの大軍すでに出発したれば来援らいえん三日をでぬであろう
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
三、四はいあり。地にむしろして鼾睡かんすいす。かたわらに西瓜あり。劈開へきかいして未だ食わず。張また指さして盗としてとらう。はたしてしかり。ある人その術を叩く。張がいわく、厠に入るに草を用う。