)” の例文
そして一同、はかまを割って、一緒に胡坐あぐらをくんで坐り直すと、銘々がたずさえて来たらしい一藁束わらたばぐして、馬のくつを作り始めたのであった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人には一の菜の慈悲もなかりき、今はジリジリ移りゆく日影を見るに堪えかね、仏壇の前に伏して泣きたり、哀れの寡婦よ、いかばかり悲しかりけん
空家 (新字新仮名) / 宮崎湖処子(著)
親しく出入する人その価附ねづけを見しに、隠元豆いんげんまめの初めて市場に出でしというが一二十本にて代金二分、同じく茄子なす鴫焼しぎやきが代金七両とあるに舌を巻きて驚き
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
そこでペンネンネンネンネン・ネネムは、燕麦オートを一と、豆汁まめじるを二リットルで軽く朝飯をすまして、それから三十人の部下をつれて世界長の官邸に行きました。
「昨日の稲刈りでおとよさアは、ないしょで省作さアのスガイ一すけた。おれちゃんと見たもの。おとよさアは省作さアのわき離れねいだもの。惚れてるに違いねい」
隣の嫁 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「ねえイワン、おれのところには兵隊がもっとたりない。もう二三分こさえておくれ。」
イワンの馬鹿 (新字新仮名) / レオ・トルストイ(著)
山田川で筏を組みますには藤蔓ふじづるを用います、これを上拵うわごしらえととなえ、筏乗の方では藤蔓のことを一二把と申しませんで、一タキ二タキと云います、一ずつ有りまして
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
胡麻穂が一二百五十円とすると二十把はいるし、青竹は十本たばで幾ら幾らになり、棕梠縄は二十束と見ていくらいくらになります、それに手間代だが職人十五人かかるとすると
生涯の垣根 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
ただ字を書く事は重宝がられて、彼も妻もよく手紙の代筆をして、沢庵たくわんの二三本、小松菜の一二礼にもらっては、真実感謝して受けたものだ。彼はしば/\英語の教師たる可く要求された。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ランプのしんは一でなくては売らないというので、一把百何十本買って来た。おそらく生涯使っても使いきれまい。自分のうちでこれだけ充実した未来への準備は外にはないだろうと思っている。
石油ランプ (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「すまねえが、線香を一もらいたい」
南北の東海道四谷怪談 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
……時に——雪の松明たいまつが二
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
満蔵はもうひとりで唄を歌ってる。おとよさんは百姓の仕事は何でも上手で強い。にこにこしながら手も汚さず汗も出さず、綽々しゃくしゃくとして刈ってるが、四と五把との割合をもってより多く刈る。
隣の嫁 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
定規じょうぎのようなものが一ほどあるがそれがみんな曲りくねっている。ますはかりの種類もあるが使えそうなものは一つもない。鏡が幾枚かあるがそれらに映る万象はみんなゆがみねじれた形を見せる。
厄年と etc. (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
その晩、象は象小屋で、七の藁をたべながら、空の五日の月を見て
オツベルと象 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)