“にぎ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ニギ
語句割合
63.7%
33.2%
1.2%
0.9%
0.7%
0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
酒席にあっては、いつもにぎやかな人であるだけに、その夜の浮かぬ顔つきは目立った。やっぱり何かあったのだな、と私は確信した。
故郷 (新字新仮名) / 太宰治(著)
此君このきみにして此臣このしんあり、十萬石じふまんごく政治せいぢたなそこにぎりて富國強兵ふこくきやうへいもとひらきし、恩田杢おんだもくは、幸豐公ゆきとよぎみ活眼くわつがんにて、擢出ぬきんでられしひとにぞありける。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その時或る説明しがたい心持で、身構へてにぎつて居た自分の杖をふり上げると、自分の前で何事も知らずに尾を振つてゐる自分の犬を、彼はしたたかに打ち下した。
「にぎ」は「にぎ」であり、「て」は「たへ」即ち梶で、「なごやかな梶布かじぬの」のことである。布帛であるが、こゝに梶紙の濫膓があつたと思へる。弊帛即ち「みてぐら」に白紙を用ゐ始めてから既に久しい。
和紙の教へ (新字旧仮名) / 柳宗悦(著)
銭さえ払えばいとして、船頭やい、船はどうする、と嘉吉が云いますと、ばら銭をにぎったこぶし向顱巻むかうはちまきの上さ突出して、半だ半だ、何、船だ。船だ船だ、と夢中でおります。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こんなことを考えて見ると、寂しくてはかない気もするが、すぐに其は、自身と関係のないことのように、心はにぎわしく和らいで来て、為方がなかった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
横佩家の郎女が、称讃浄土仏摂受経しょうさんじょうどぶつしょうじゅぎょうを写しはじめたのも、其頃からであった。父の心づくしの贈り物の中で、一番、姫君の心をにぎやかにしたのは、此新訳の阿弥陀経あみだきょう一巻いちかんであった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
大きい大きいニッケル湯沸しの横に愛嬌のいい小母さんが立って一杯三カペイキ(三銭)のお茶をのませ、菓子などを売る喫茶部はにぎやかな話し声笑い声に満ちている。