)” の例文
足のきずはやがてえたが、その年の冬風邪かぜから引きつづいて腹膜炎ふくまくえんかかり、赤十字病院に入ると間もなく危篤きとくに陥った。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
文政七年の元日は、棕軒正精が老中の劇職を辞して、前年春杪以来の病がえたので、丸山の阿部邸には一種便安舒暢べんあんじよちやうの気象が満ちてゐたかとおもはれる。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
ベルナルドオは痍のえし後、我身を愛する由聞え候ひしかど、私はその僞ならぬをさとりながら、君をおもふ心よりうべなひ候はざりき。ベルナルドオは羅馬を去り候ひぬ。
よしこのやまいゆとも一たび絶えし縁は再びつなぐ時なかるべきを感ぜざるにあらざるも、なお二人が心は冥々めいめいうちに通いて、この愛をば何人なんびともつんざくあたわじと心にいて
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
更に進んで「仄歩しよくほけはしけれども。わらび首陽しゆやうに折るの怨なく。岩窓がんさうに梅遅けれども。とつぎて胡語を学ぶの悲みなし。」といふに至りては、伏姫の心既に平滑になりて、苦痛全く
病気の為に信心して幸にゆれば平気で暴利をむさぼって居る者もある。信徒の労力を吸ってえて居る教師もある。然しこのせちからい世の中に、人知れず美しい心の花を咲かす者も随処ずいしょにある。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
なれえなむ。
蘭軒は八九月の交に病んで、次で病のゆるに及んで、どこか田舎へ養生に往つてゐたかと思はれる。「山園雑興」の七律に、「病余只苦此涼秋」の句がある。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
我室に入りて相對せる時、公子容かたちを改めて宣給ふやう。アントニオよ。御身の病はまだえずと覺し。少しく世の人に立ち交りて、氣鬱を散ぜんかた、身の爲めに宜しからん。
サンタの熱は未だえず、されど明日あすの興行には必ず往かんと誓へり。ヱズヰオは火を噴き灰をらすることもとの如し。而して我名を載せたる番付は早く通衢ちまたり出されたり。