“用(い)” の例文
「いいえ、名札なんか用(い)りません。誰(だれ)も知らないもののない方でございます。ほほほ、」
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そしてそこに用(い)らないものを預けて、江(え)の島(しま)のほうまで車を走らした。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
かえってその御病気のために、生命(いのち)も用(い)らないという女のあるせいでしょう。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私は何も新しい衣物(きもの)なんか欲(ほし)いとは思わないし、坊やも、お菓子も用(い)らないから、お前さん、どうぞ、お婿さんになってくれる気なら、船頭はよして、何ぞ他(ほか)の商売にしておくれな、姉(ねえ)さん
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「用(い)らないものを、何だって価を聞くんだ。素見(ひやか)すのかい、お前は、」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
汝(てめえ)のためならばな、兜(かぶと)も錣(しころ)も何(なッ)ちも用(い)らない、そらよ持って行きねえで、ぽんと身体(からだ)を投出してくれてやる場合もあります代りにゃ、女(あま)の達引(たてひ)く時なんざ、べらんめえ、これんばかしの端(はした)をどうする
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)