“寢(い)” の例文
新字:寝
今(いま)敵國(てきこく)深(ふか)く侵(をか)して、邦内(はうない)騷動(さうどう)し、士卒(しそつ)、境(さかひ)に(一七)暴露(ばくろ)す。君(きみ)寢(い)ねて席(せき)を安(やす)んぜず、食(くら)うて味(あぢはひ)を甘(あま)しとせず。百姓(せい)の命(めい)皆(みな)君(きみ)に懸(か)かる。
我彼に曰ふ、我は汝の欺くをしる、ブランカ・ドーリアは未だ死なず、彼食(く)ひ飮み寢(い)ねまた衣(ころも)を着るなり 一三九—一四一
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
……大抵(たいてい)眞夜中(まよなか)の二時(にじ)過(す)ぎから、一時(ひととき)ほどの間(あひだ)を遠(とほ)く、近(ちか)く、一羽(いちは)だか、二羽(には)だか、毎夜(まいよ)のやうに鳴(な)くのを聞(き)く。寢(い)ねがての夜(よる)の慰(なぐさ)みにならないでもない。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
四階の屋根裏には、エリスはまだ寢(い)ねずと覺ぼしく、烱然(けいぜん)たる一星の火、暗き空にすかせば、明かに見ゆるが、降りしきる鷺の如き雪片に、乍(たちま)ち掩はれ、乍ちまた顯れて、風に弄ばるゝに似たり。
舞姫 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
我毛髮の彼銚中に入ると齊(ひと)しく、今まで忘れ居つるテレザの慕はしくなりて、醒めては現(うつゝ)に其聲を聞き、寢(い)ねては夢に其姿を視、そぞろに旅のやどりを立出でゝ、おうなが銚(なべ)の下に歸りぬといふ。
虎列拉(コレラ)避(よ)けの花火、さては古めかしい水祭の行事などおほかたこの街特殊のものであつて、張のつよい言葉つきも淫らに、ことにこの街のわかい六騎(ロツキユ)は温ければ漁(すなど)り、風の吹く日は遊び、雨には寢(い)ね
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
燃えすわる夜すがら、われは寢(い)ねじと。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
股(もも)長に 寢(い)は宿(な)さむを。
積薪(せきしん)に夕餉(ゆふげ)を調(とゝの)へ畢(をは)りて夜(よ)に入(い)りぬ。一間(ひとま)なる處(ところ)に臥(ふ)さしめ、姑(しうと)と婦(よめ)は、二人(ふたり)戸(と)を閉(と)ぢて別(べつ)に籠(こも)りて寢(い)ねぬ。馴(な)れぬ山家(やまが)の旅(たび)の宿(やど)りに積薪(せきしん)夜更(よふ)けて寢(い)ね難(がた)く、起(た)つて簷(のき)に出(い)づ。時(とき)恰(あたか)も良夜(りやうや)。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
寢(い)ねがてぬ軍馬なりしか夜に聽きてなにか心に觸るるものありき
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
たゆまず寢(い)ねぬ隱者(いんじや)のその態(さま)もて
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
股長(ももなが)に 寢(い)をしなせ。
劉填(りうてん)密(ひそか)に計(はかりごと)を案(あん)じ、※(せん)に命(めい)じて鏡中(きやうちう)雙鸞(さうらん)の圖(づ)を造(つく)らしむ、圖(づ)する處(ところ)は、陽王(やうわう)其(そ)の寵姫(ちようひ)の肩(かた)を抱(いだ)き、頬(ほゝ)を相合(あひあは)せて、二人(ふたり)ニヤ/\として將(まさ)に寢(い)ねんと欲(ほつ)するが如(ごと)きもの。舌(した)たるくして面(おもて)を向(む)くべからず。
聞きたるまゝ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
木の間洩る谷地(やち)の灯(ひ)あしの線(すぢ)引きて蛙(かはづ)が啼けば子は寢(い)ぬるもの
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)