)” の例文
十二支というのは、子、うしとら、卯、たつうまひつじさるとりいぬの十二で、午の年とか酉の年とかいうあの呼び方なのです。
大金塊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「親分親分言うなよ、人聞きが悪い、ああ、これがその青嵐氏からの返事——十四日の時、なるほど早いものだなあ、その足は」
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
然るに其朝は前野の茶室で元気好く氏郷に会った政宗が、其夜の、しかもの刻、即ち十二時頃になって氏郷陣へ使者をよこした。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
あとは今夜のの刻(午後十時)に、その御報告を池田勝入様のお耳へ確乎しかとお達しするという役目だけが一ツ残ってるんで……。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
来年はの歳だから、例に依ってイノシシの話の原稿を早くまとめて送れという訳と解いたので、初めて気が付いてこの篇に取り掛かった。
人間の毛髪を刈取ったものを私は寺の本堂や小さなほこらの壁や柱に、の年の女とか何とか記されてり下げられてあるのを見る。
今でも新穀の食物をもって、神を祭り申す習わしだけは跡づけられるが、大体に式の中心は十月のの日に引き上げられた形である。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「なに、手はずに変わりがあるものかね。集まるのは羅生門らしょうもん、刻限は上刻じょうこく——みんな昔から、きまっているとおりさ。」
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
抽斎は早く帰って、晩酌をして寝た。地震はの刻に起った。今の午後十時である。二つの強い衝突を以て始まって、震動がようやいきおいを増した。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
朔日ついたちとりでしたから、……酉、いぬ……、あっ、の四日……。それで、鼠が四匹か……。どっちみち、あの碁石を
小源二の話によると、祈祷の夜のの刻ごろ、泰親がかの黒髪を火に燃やしたとあたかもおなじ頃に、彼女はにわかにこの世を去ったというのであった。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
まず七兵衛初め長屋の者の寝入初ねいりばな、この井戸端で水音がしたというの上刻は四つごろの出来事であろうと、三次はその日和下駄を凝視みつめながら考えた。
陽はとっぷりとくれて、時刻はもはや四つの刻……いまの十時ごろになっていたのかもしれません。あんどんにもぼんぼりにも灯がまたたいています。
亡霊怪猫屋敷 (新字新仮名) / 橘外男(著)
夫婦が互の出来栄できばえをめ合ったりして、先ずはその夜の遊興もみやびやかに終りを告げてから、程なく二人が臥戸ふしどへ引き取ったのはの刻を過ぎていた。
十月二日小雨のんだ後、夜の刻に大地震が起った。枕山湖山毅堂の三家は各罹災りさいの詩を賦している。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
仮にそう定めて置いて、大塚から点燈ひともし頃にテクテク荒川くんだりまで出掛け、水の中で命のやりとりの大芝居をして帰ったのがの刻過ぎたというから十時である。
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
目黒から間道を脱けて行ったが、それでも帰路かえりった。小平太はの刻前にようよう戻ってきて、自分で指図をして、それぞれ片づけるものは片づけさせてしまった。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
そのお茶の水の森林地帯へ、山岸主税が通りかかったのは、の刻を過ごした頃であった。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
こくに有馬浦へ上陸、角蔵三吉其他男女十六名を摘め取り島原へ連行したが、北岡といふ所でこの者共を船に積込んでゐると、信者二百余名が跡を追ふて暇乞ひにやつて来た。
島原一揆異聞 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
その晩はの子のもちを食べる日であった。不幸のあったあとの源氏に遠慮をして、たいそうにはせず、西の対へだけ美しい檜破子詰ひわりごづめの物をいろいろに作って持って来てあった。
源氏物語:09 葵 (新字新仮名) / 紫式部(著)
もよほしける然るに其夜こくとも覺敷頃おぼしきころかぜもなくして燭臺しよくだい燈火ともしびふツとえければ伊賀亮不審ふしんに思ひ天文臺てんもんだいのぼりて四邊あたり見渡みわたすに總て海邊かいへんは數百そうの船にて取圍とりかこかゞりたき品川灣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
まず寛正かんしょうの六年秋には、忘れも致しません九月十三日の夜の刻ごろ、その大いさ七八しゃくもあろうかと見える赤い光り物が、坤方ひつじさるより艮方うしとらへ、風雷のように飛び渡って、虚空こくうは鳴動
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
先生、へんなことを伺うようですが、先生の星廻りは何んですか? 僕はの生れです。亥ノ八白、これが僕の運の星です。なにやら語呂が藪井竹庵やぶいちくあんに似て、昔の医者の名のようですね。
わが師への書 (新字新仮名) / 小山清(著)
家を建つるに三輪方さんりんぼうというものがある。この日にたてまえした家は必ず倒れるとて、大工などは大いに嫌う。その繰り方は知らざれども、とらうしについての配合の規則があるそうだ。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
はるばると乗って、やっと家に着いたのは、もうの刻にもなっていた。
かげろうの日記 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
「この傍へ来る、明日あすの晩のこくじゃ」
ある神主の話 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
四月十七日
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それがしも、こくまで、ぽつねんと、鼠に引かれそうに居るのは退屈。——ご宴の末席に加わりたいが——いけませんかな?
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今でも覚えているのは旧十月のの日の晩に、と称して新藁しんわらで太いつとを巻き立て、地面を打ってまわる遊びがあった。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
宇平はもう敵を見附けたような気になって、の刻に山を下った。丸亀に帰って、文吉を松尾から呼んで僧を見させたが、それは別人であった。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
第三夜の十四日の夜もの刻(午後十時)を過ぎた頃に、第四組が多々良川のほとりで初めて物の影を認めた。
馬妖記 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
戸じまりをしてわたくしどもがやすみましたのは、たしかに四つの刻すぎでございましたでしょう。
亡霊怪猫屋敷 (新字新仮名) / 橘外男(著)
私ノやしろヘ、日講ひこうトイウノヲこしらエテ下サイマセ、ト頼ンダカラ、一カ月三文三合ノ加入ヲスル人ヲ拵エタガ、剣術遣イハイウニ及バズ、町人百姓マデ入レタラ、二三カ月ノ中ニ
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
まづ寛正かんしょうの六年秋には、忘れも致しません九月十三日の夜の刻ごろ、その大いさ七八しゃくもあらうかと見える赤い光り物が、坤方ひつじさるより艮方うしとらへ、風雷のやうに飛び渡つて、虚空こくうは鳴動
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
その犬に向かい、「我は虎いかになくとも犬は犬獅子のはがみをおそれざらめや」とよみ、右の手の親指より、いぬうしとらと指を折りてつよく握るなり。犬、恐れてにぐること奇妙なり。
妖怪学 (新字新仮名) / 井上円了(著)
十月へはいって初のの日で、御玄猪ごげんちょのお祝い、大手には篝火かがりびをたき、夕刻から譜代大名が供揃い美々びびしく登城して、上様うえさまから大名衆一統へいのこ餅をくださる——これが営中年中行事の一つだが
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ふけやすい夏のは、早くも上刻じょうこくに迫って来た。——
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
かくて、佐久間本隊が総退却にかかり出したのは、下刻げこく(午後十一時)頃であり、この夜、月の出は、今の時間にして、十一時二十二分。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いわゆる五節供ごせっく三節供さんせっくには限らず、九月の秋祭、十月の、その他毎月の日待ひまち月待つきまちまでを、鹿児島県などではみんな折目おりめ節目せちめと呼んでいる。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
寛延元年九月十三日夜のの刻(午後十時)から夜明けまでのあいだに、五人の若い男が即死、二人が半死半生という事件が出来しゅったいしたので、村中は大騒ぎになった。
半七捕物帳:24 小女郎狐 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その日のこくに江戸橋を立つ木更津船きさらづぶねは、あえて日和ひよりを見直す必要もなく、若干の荷物と二十余人の便乗の客を乗せて、いかりを揚げようとする時分に、端舟はしけの船頭が二人の客を乗せて
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
また、犬が吠えつくときに、犬伏せと申して、親指を犬と立て、これを伏していぬうしとらと数えて、寅に当たる小指をもって戌(すなわち親指)を押すと、犬が吠えるのをやめると申します。
妖怪学一斑 (新字新仮名) / 井上円了(著)
それ以来、待ちに待っていた十月初のの日。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「このところ、夜々、月の出はこく(午後十時)過ぎ、従って、潮のざかりは、四こう丑満うしみつさがりとなりましょうか」
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
武州大里吉見おおさとよしみ辺にも同じことをするという。播州ばんしゅうなどでは十夜ととは全く別であって、亥の子は中の亥の日の夜いわゆる藁鉄砲のあそびをする。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
夜のの刻(午後十時)を過ぎた頃に、梢をゆする夜風がひとしきり烈しく吹いて通ったかと思うと、今まで黙っていた古塚が地震ないふるようにゆらゆらと揺るぎ出した。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
いま……真夜中近いの刻。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
なか
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と——やがて約束のこくごろ、浜辺はまべのほうから、百夜行やこう八幡船ばはんせんの黒々とした一列が、松明たいまつももたずに、シトシトと足音そろえて、ここへさしてくる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この時代の習いで、の刻頃(午後十時)には広い屋形の内もみな寝静まって、庭の植え込みでは時どきに若葉のしずくのこぼれ落ちる音がきこえた。今夜は蛙も鳴かなかった。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)